【既報関連】29日午後、民主運動党(PMDB)が正式に、労働者党(PT)政権の連立与党から離脱することを宣言した。これに先立つ27日、ミシェル・テメル副大統領は既に、ルーラ前大統領に対し、PMDBの離党は覆らない旨を伝えていた。議会最大党である同党の離脱は連立崩壊の大きな引き金となり、ジウマ大統領罷免に拍車をかけそうだ。29日付伯字紙が報じている。
ジウマ氏が「4月12日の党大会前の閣僚指名はなし」という協約を無視し、同党のマウロ・ロペス氏を民間航空局長官に指名したことにテメル氏が激怒した件は昨日付本紙でも報じた。テメル氏は27日、ルーラ氏に同件が離脱に向けた致命傷となったと伝え、「あれから全てが変わり、党内の空気も反政府一色に転じた」と語った。ロペス氏の就任式は、国民の7割が「逮捕を逃れるため」とみなした、ルーラ氏の官房長官就任と同じ17日に行われた。
これにより、PMDBの党大会は29日に前倒しされた。当初はそこで各支部の代議員による投票が行われるはずだったが、それもなくなった。27日までにサンパウロ州、リオ州、南大河州など14州の支部、28日にはミナス・ジェライス州の支部も離脱を決めており、当初ジウマ氏支持だったレナン・カリェイロス上院議長(アラゴアス州)も離脱に同意した。副大統領と同議長は28日、党の分裂を避けるため、投票をせず、宣言という形を取ることで合意した。
28日には、7人いる同党閣僚中、前下院議長のエンリケ・アウヴェス観光相が辞表を提出した。29日現在、少なくとも3人の大臣がこれに続く見込みだ。各閣僚には、4月12日までの猶予が与えられている。
下院最高の69人の下議のいるPMDBの離脱は、既に他の連立与党にも影響を与えている。
下議49人の進歩党(PP)では先週、下議22人と上議6人が同党党首に連立離脱を話し合う会議の開催を求める署名を出し、30日に会合を開く。また、下議32人の社会民主党(PSD)では、都市相でもあるジルベルト・カサビ党首がジウマ氏の罷免に関しては自由意志に任せる方針を出しており、既に7、8割が罷免に賛同する意向だという。下議40人を抱える共和党(PR)も、アントニオ・カルロス・ロドリゲス運輸相が現状を食い止めているが、過半数は罷免に賛成だという。また、ブラジル労働党(PTB)も離脱の可能性がある。
こうした中、ブラジル弁護士会(OAB)は28日、下院に新たな大統領罷免請求を提出した。今回の請求理由には、連邦政府の15年の粉飾会計疑惑や、「ジウマ氏がラヴァ・ジャット作戦を妨害しようとした」とするデウシジオ・アマラル上議(元PT)の報奨付証言や、ルーラ氏の逮捕逃れの官房長官指名などが含まれている。
タグ:PT PSD PMDB ルーラ カサビ 写真ニュース ジウマ大統領 ラヴァ・ジャット