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H1N1流行=保健省がサンパウロ州に特別措置=40万人分のワクチン送る

 【既報関連】サンパウロ州で想定外の時期にA型インフルエンザH1N1が流行し、多数の死者も出ている事を受け、保健省が28日、高リスクの人向けの緊急接種用に、昨年利用したワクチン40万人分をサンパウロ州に送る事を決めたと29日付G1サイトなどが報じた。
 サンパウロ州では今年、H1N1を含むインフルエンザに起因する重症急性呼吸器症候群(サーズ、ポ語ではSRAG)の患者が260人(サンパウロ市66人)出ており、昨年の33人(同1人)より大幅に増加。サーズによる死者は38人(同8人)で、この数も、年間で10人(同ゼロ)だった15年を大幅に上回っている。サンパウロ市保健局によると、1~3月に肺炎で入院した患者は299人で、昨年同期の127人より135%増えている。
 州保健局は28日、保健省にインフルエンザ予防キャンペーンの前倒しを依頼したが、製薬会社からのワクチン到着は4月12日の予定のため、保健省が昨年使用したワクチンの利用を認めた。
 昨年のワクチンはH1N1用で、4月1日からサンパウロ州に届き始める。今回の緊急接種は、H1N1が流行中の内陸部中心に州内67市で、高齢者や幼児といった免疫能力が低い人向けに行われる。今年のキャンペーン用ワクチンはH1N1とインフルエンザA香港型(H3N2)、B型の3種ワクチンのため、緊急接種を受けた人も4月30日~5月20日の全国キャンペーンでの再接種が勧められている。
 H1N1は09年に流行し、豚インフルと恐れられた型で、咳や鼻水などの風邪の症状の他、高熱、嘔吐、目の痒み、関節の痛みなどを引き起こす。健康な人も重症化して肺炎を併発、死に至る可能性がある。サンパウロ州では特効薬のタミフルを切らしている薬局も多い。
 専門家は、デング熱やジカ熱感染を恐れて部屋を締め切る人が多く、手を洗うといった基本的な対策を忘れた事も手伝って早期の流行を招いたと見ており、手洗いや部屋の換気を奨励している。