下院最大勢力である民主運動党(PMDB)の連立離脱で、政局運営とジウマ大統領の罷免阻止が苦しくなった労働者党(PT)は、PMDBの離脱で抜けた大臣職を振り分けて進歩党(PP)や共和党(PR)を引き止めようとしているが、難しい状況だ。30日付伯字紙が報じている。
29日のPMDB離脱は同時に、同党が占めていた七つの大臣・政府管理職約700人分が宙に浮いたことも意味する。
その中で、カチア・アブレウ農相、セウソ・パンセラ科学技術相、マルセロ・カストロ保健相の3人はジウマ派で、いずれも連邦政府内に残っての職務継続を望んでいるが、PMDBは役職を引き払ったとの理解になっている。さらに、政府内では役職は政党への割当になっているため、彼らが離党して他党に移籍しても継続の保証はない。
PT側が連立与党内で期待を託したいのは、進歩党(PP)と共和党(PR)だ。両党は、2月18日から3月18日にかけて議会内で行われた党移籍により、それぞれ、下議を8人、6人と増やし、下院全体で4位(49人)と5位(40人)となっている。この2党の引き止めはジウマ大統領の罷免阻止のためにも必至だ。
PPの場合、政府側は同党党首で親ジウマ派のシロ・ノゲイラ上議を介して連立残留を止めようとしているが、PPは30日に党内で「連立残留か否か」の会議を行うことになっている。29日現在では、連立離脱を望む声の方が多い。
現在、PPは国家統合相の役職を得ているが、政府側はジルベルト・カサビ氏(PSD)が務めている都市相を与えることも考慮に入れている。
PRの連立残留も、同党所属のアントニオ・カルロス・ロドリゲス運輸相の説得の可否にかかっている。
政府は下議31人のPSDやPRB(ブラジル共和党、下議22人)の説得を図る意向だ。PRBは16日に連立離脱を発表したが、政府側は再度の逆転を狙っている。PP、PR、PSD、PRBの下議数は140人を超え、罷免阻止に172票が必要なジウマ大統領としては是が非でも欲しいところだ。
現状、PTの下議は58人で、長年の連立パートナーのブラジル共産党(PC doB)と合わせても70票強。社会自由党(PSOL)など、非連立の独立系ながら、罷免に反対の左翼系政党の票を足しても、現状で確定している投票数は172には足りていない。
政府は全国労働者党(PTN)、社会人道党(PHS)、社会秩序共和党(PROS)、ブラジル労働者党(PTdoB)、社会自由党(PSL)、全国環境党(PEN)にも声をかけているが、これらの党の下議は全て足しても32票だ。
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