最近のブラジルの経済記事は、インフレや失業率の上昇で実質所得が減り、消費者の購買力が低下といった内容が多い。2月のインフレは0・9%、直近12カ月だと10・36%といった数字を見て、給与はそんなに上がらないのにと嘆く人も多い事だろう▼現在のインフレは、月80~90%を記録したコーロル政権時のようなハイパー型ではない。だが、あの頃の給与は毎月調整され、給料日後は目減りしないうちに大量に買い物をする姿も見られた。それに対し、今は年1度の調整の人が多く、給与が目減りして、月末はお金が足りなくなる人も多い▼そんな中、アタカード(卸)とヴァレージョ(小売)を兼ねた「アタカレージョ」と呼ばれる店の利用者が増えている。この手の店は13年~15年に68%増えた。アタカレージョ利用者中、一般消費者の割合は15年が18%、今年は30%。昨年のスーパーの売上は4・5%減だが、アタカレージョは12・1%増えており、経費削減のためにアタカレージョを利用する人が増えた事がわかる▼アタカレージョ利用者は購入額が12%減ったのに購入した品数は9%増えているともいい、店を代える事で得る効果は大きい。また、アタカレージョを使う他、バーゲンを利用、市販品を手作りの品に代える、レストランやショッピングに行く回数を減らして家でシュラスコなどを行う、娯楽のあり方を考え直すといった工夫をする人もいる。麺つゆや衣服の柔軟仕上げ剤、台所の油汚れを掃除する液剤などを手作りし、大好きなお菓子作りで副収入を得るなどの工夫を重ね、失業の憂き目や購買力低下を補う頼もしい人も増えているようだ。(み)