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裁判所で女性判事人質に=自殺覚悟の爆発物所持者

 サンパウロ市西部ブタンタン区にあるサンパウロ州地裁で3月30日午後、爆発物を所持した36歳の男性が裁判所内に侵入し、女性判事を人質に取るという事件が発生したと3月31日付伯字紙が報じた。
 犯人は13年に当時妻だった女性に暴行、3月31日の公判で判決を言い渡されるはずだったアウフレッド・ジョゼ・ドス・サントス被告だ。
 同被告は30日午後、金属探知機などがない出口側から駆け込み、通路の一部に放火すると、火災に気をとられた警官や職員の隙を見て、タチアナ・モレイラ・リマ判事の部屋に侵入。同判事を床に押さえつけ、ガソリンなどをかけた上で、火をつけると脅した。
 裁判所の警備に当たっていた警官や職員が消火にあたり、犯人をなだめようとする間に、火災と侵入者発生の報を受けて軍警も駆けつけた。警官達に囲まれた犯人は、短時間の交渉後に投降し、リマ判事を解放した。
 警察によると、犯人は火炎瓶やガソリンなどを持参しており、犯人投降後に市警と軍警の特殊部隊が探した結果、裁判所の外で、侵入前に仕掛けたと思われる爆発物が複数個発見された。
 リマ判事は家庭内暴力や女性に対する暴行事件を専門に扱い、講演会なども行っている。30日は軽傷を負っただけで、命には別状はない。
 犯人と妻は13年の事件後に離婚。犯人は31日の判決で、子供の養育権を失うと確信していたとされ、3カ月前に立てた計画に基づき、裁判所に侵入、裁判所に出来るだけ大きな損失を与えた上で自殺しようと目論んでいたという。
 犯人は裁判の過程で不正があったとも信じ込んでおり、外部の人間が自分の人生を破壊するのを許さないという気持ちを持っていたようだ。
 なお、下院は同日、女性を殺害した場合の刑罰を重くする法案を承認。同法案は今後、上院での審議に回される。