05年7月22日、ロンドン地下鉄でロンドン警察(SY)が、ブラジル人のジェアン・シャーレスさん(当時27・電気工)を前日の05年7月21日にテロ行為を行ったとされたオスマン・ウサイン容疑者と誤認し、射殺する事件が起きた。
英国司法はSYの責任を認めたが、同件に関与した警官やその上司の個人的な責任を問わないとの判決を出し、それを不服とした遺族は欧州裁判所人権局に訴えていた。
だが、3月31日付伯字各紙によると、欧州裁判所は3月30日、賛成13反対4で、英国司法を支持した。
同裁判所は「警官が誰も処分されない事に不満を抱く事は理解できるが、英国司法が個人の責任を問わなかったのは、充分な捜査を行ったが各人に殺意があった事などを裏付ける証拠がなかったためで、捜査が不充分だったり当局が不当な判断をしたりしたという意味ではない」とした。
SYの苦情受付独立委員会は06年、警官達がシャーレス氏をウサイン容疑者と混同した事を認め、英国司法も翌年、作戦行動の不備でSYに17万5千ポンドの罰金を命じたが、個人の責任は追及しない事を決めた。
英国司法に反対した欧州裁判所の判事の一人、ルイス・ロペス・ゲーラ氏は「SYの組織責任は問うても、個々の警官の責任を問わないのは理解しがたい」と語った。
シャーレスさんの従姉妹のパトリシア・アルマーニさんは「希望を捨てず、控訴審を信じて待っていたが、本当に落胆している」と語った。