『朝蔭』第437号が3月に発行された。先週のパイション(受難の日)を髣髴とさせる「受難歌のニグラの声のやさしかり」(伊津野静)、男性なら「初鏡皺をのばして髭を剃る」(中馬淳一)には皆覚えがあるだろう。「カルナバル喧騒よそに句会かな」(壇正子)、「バナナ植え居着く不法のポッセイロ」(村上士郎)などは日本では絶対に詠まれない句だ。「読みかけの俳誌を胸に夫昼寝」(前田昌弘)、「火渡りに部落総出の移住祭」(川上佐智子)はバストスの勇壮な祭りの場景を詠んだもの。ぜひ見てみたい。「祝儀佛議続く会館秋の暮」(立沢節子)からはアルバレス・マッシャードの日会の様子が目に浮かぶ。今号も秀作ぞろい。