ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ルーラ前大統領=支持者の集会で強気崩さず=罷免採決日にデモ呼びかけ=罷免派ビクード氏も血気盛ん
支持者に語りかけるルーラ前大統領(Ricardo Stuckert/Instituto Lula)
支持者に語りかけるルーラ前大統領(Ricardo Stuckert/Instituto Lula)

ルーラ前大統領=支持者の集会で強気崩さず=罷免採決日にデモ呼びかけ=罷免派ビクード氏も血気盛ん

 大サンパウロ市圏サンベルナルド・ド・カンポ市で4日に開かれたジウマ大統領罷免反対派デモに、ルーラ前大統領が現れた。前大統領は、連立与党から抜けることで大統領罷免を成立させ、大統領への昇格を狙っているとされるミシェル・テーメル副大統領(民主運動党・PMDB)に対し、大統領になりたければ選挙に出ろと挑発したと5日付フォーリャ紙が報じた。
 ルーラ氏は「テーメル副大統領に一言だけ言わせて欲しい。大統領になりたいのなら選挙で国民に信を問え」と語った。
 ルーラ氏はABC地区の金属加工業労働者組合主催のデモ集会で、「ジウマ大統領は今、国民の助けを必要としている」とし、左翼団体に「大統領罷免採決の日は街頭に出て、怒りを爆発させよう」と呼びかけた。
 ルーラ氏の弁護団は同日、連邦最高裁(STF)に新たな訴状を持ち込んだ。それは、セルジオ・モーロ判事が「政治問題に介入した」と言うものだ。弁護士達は、モーロ氏が指揮したルーラ氏を強制連行しての取調べや、盗聴とその内容の公開、同氏個人ならびに家族に対する捜査を違法だと強調した。
 CUTと農地占拠運動(MST)は、11日以降、ブラジリアで罷免反対、ジウマ大統領支持のデモを行う予定だ。現在の情勢では、下院での大統領罷免決議案採決は17日に見込まれている。
 一方、4日はサンパウロ市中央部ラルゴ・サンフランシスコのサンパウロ総合大学(USP)法学部前で、大統領罷免賛成派のデモも起きた。デモ参加者はUSP法学部の学生や元学生で占められ、主催者発表ではピーク時には3千人が集った。
 大統領罷免請求状作成者の一人のエリオ・ビクード氏は、「ブラジルがこんなに汚職にまみれたのを見たのはこの歳になって初めてだ」と壇上で語った。共同作成者のミゲル・レアレ・ジュニオル氏は「粉飾会計は再選のための策で、社会政策への投資のためではなかった」と語った。
 現在のブラジルを揺るがす政治的混乱は、遠く欧米のブラジル研究者達の間にも亀裂を生じさせている。米国で開催されたブラジル研究学会(Brasa)の会合後に運営委員を辞任したアンソニー・ペレイラ元会長は「おもしろいことに、ブラジルで意見が2分する問題が、ブラジルを研究する他国機関でも分裂の火種になっている」とフォーリャ紙に語った。