当地の日系高齢者支援に関し情報収集と現地調査のため、JICAを通じ来伯していた佐久総合病院の北澤彰浩診療部長ら専門家が先月20日、パラナ州ロンドリーナを訪れた。
翌日午前から同市職員を交え、高齢者に関わる行政の取り組みについて意見交換。昼食後には同地に派遣されている、JICAシニアボランテイアの岡生子さんによる活動報告に耳を傾け、パラナ日伯文化連合会(リーガ・アリアンサ)役員とも意見を交わした。
22日午後には高齢者支援に係るセミナーが開催され、同連合会館に250人ほどが集った。始めに登壇したのは、佐久大学看護学部の征矢野あや子教授。専門分野である認知症について、特徴や予防、心地良い介護の仕方について講演した。
続いて北澤部長は、「近年日本では自宅介護を望む傾向にある」と話し、「地域行政もそれをサポートする体制が整ってきている。地域によって多少異なるが地域医療システムが進んでいる」など、日本の現状を説明した。
また高齢者の疑似体験できる装備品(チョッキ、眼鏡、腕膝につける備品など)を紹介。「介護者がこれらを身に着けることによって、高齢者の体機能を理解し介護に生かせる」と活用を勧めた。参加者には、ローランジャなど近郊から高齢者支援担当の非日系も訪れ、熱心にメモを取っていた。
ロンドリーナでは医療生協のウニメジ、介護施設の視察ほか、在宅ケアを受ける教仙千里さん(96)宅も訪れ、在宅介護の実態や訪問看護についても調査。サンパウロ市でも同様に情報収集に努め、24日深夜に離伯した。