サッカーサンパウロ州選手権、パルメイラス対コリンチャンス戦が行われた3日、両チームのファンがサンパウロ市や大サンパウロ都市圏で抗争を起こし、巻き添えになった男性1人が死亡、多数の負傷者や逮捕者も出た問題で、サンパウロ州公共保安局は、少なくとも年内は、サンパウロFC、パルメイラス、コリンチャンス、サントスが直接対戦する試合(クラシコと呼ばれる)は、ホームチームのファンのみを入れて行う事を決定したと5日付伯字各紙が報じた。
それ以外にも、各クラブは、〃オルガニザーダ〃と呼ばれる私設応援団に限定的にチケットを販売する事を禁じられた。またオルガニザーダは、スタジアムに各団体名を誇示するそろいのシャツや横断幕、サンバの打楽器を持ち込む事ができなくなる。
「これによって、軍警が問題の種となっているオルガニザーダを装甲車の隊列を作って警備し、スタジアムまで同行する必要がなくなる。余剰の警備をスタジアム周辺と市内各所に配することができる」―。そう語るのは、アレシャンドレ・モラエス・サンパウロ州保安局長だ。
これらの対策が決まった会議には、サンパウロ州サッカー連盟、同州検察局、同州地裁、軍警、市警の代表者がそれぞれ顔を揃えた。
サッカーに関連した暴力事件頻発に悩むブラジルだが、エキサイトしやすい対戦カード限定で、ホームチームの観客のみ入場を認める方策は、効果が疑問視されている。それは今日、暴力事件の8割はスタジアムの外で起こっているからだ。
同じ街を本拠とするチーム同士の直接対決は〃ダービーマッチ〃とよばれ、世界中で人気がある。それは、対抗心をむき出しにする両チームのサポーターがスタンドを2色で染め上げ、普段とは異なった雰囲気をつくりあげるからだ。
しかし、今のブラジルでは、行き過ぎたライバル関係が暴力となって噴出し、スタジアムから人々の足が遠のく一因となっている。
〃オルガニザーダ〃はそろいのシャツを着てスタジアムに現れ、周りを威嚇するような行動を取る者もいる。集団に紛れて気が大きくなり、普段ならやらないような暴力行為さえもできてしまう心の病は深刻だ。
サッカーファンがみんながそうではなく、オルガニザーダでさえ、大半は善良な市民だ。だが、そうして染み付いたサッカーへの負のイメージが国内リーグを衰退させ、有望選手の流出、サッカー人気の低下を引き起こしている。
ブラジルの象徴ともいえる代表チームの選手達も、多くは若い頃に欧州チームに青田買いされ、ブラジル人のファンが思い入れを持ちにくくなっている。
屈辱の「7―1」から2年余り、現時点のW杯予選では出場権獲得圏外に沈むブラジルサッカー低迷の要因の一つには、国内リーグの衰退も確実に挙げられる。(規)
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