中央銀行(BC)の最新データで、ジウマ政権になって以降、「粉飾会計」と呼ばれる連邦政府の公共銀行からの借入が加速的に増えていることが明らかとなった。粉飾会計はジウマ大統領の罷免請求の最大の理由で、下院特別委員会での審議直前の大統領には手痛いデータとなった。6日付フォーリャ紙やG1サイトが報じている。
14年の会計分の粉飾は昨年、連邦会計検査院(TCU)から財政責任法違反に問われたが、14年の粉飾会計は現政権のものではないため、ジウマ大統領の罷免請求の理由にはならない。それが15年度も継続していることが取り沙汰され、その点も理由に盛り込んだ罷免請求が提出された時点でエドゥアルド・クーニャ下院議長が請求を受理、特別委員会の開設に至った。
4日、ジウマ大統領を弁護したジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ国家総弁護庁長官は、「公共銀行からの借入の返済遅れは過去の大統領の時代からあったものだ」として反論を行った。
01年度分からはじまる中銀のデータでは、カルドーゾ政権(~02年)やルーラ政権(03~10年)でも、公共銀行からの借入の返済遅れがあったことが判る。
だが、01~08年までの返済遅れ額は、国内総生産(GDP)の0・03%~0・11%に過ぎなかった。
ところが、ルーラ第2政権2年目の08年9月のリーマン・ショックで世界的経済危機が起きてからは借入による負債額が増え、10年はGDPの0・2%に達した。
借入先も、08年までは基本的に連邦貯蓄銀行(CAIXA)とブラジル銀行(BB)の二つが主で、ルーラ政権で時折社会経済開発銀行(BNDES)が入る程度だったが、09年からはBNDES分が増えた上、勤務年限保障基金(FGTS)も入りはじめた。
ジウマ政権に突入すると、この四つの借入先に対する負債が加速度的に増えた。第1期政権が終わった14年は、FGTSとCAIXA、BNDES、BBの四つからの借入がGDPに占める割合は1・0%に達した。中銀のデータによれば、その状況は15年もほとんど変わっていない。
負債総額も、カルドーゾ政権の01年が9億4800万レアルだったのに対し、15年12月は600億レアルで、60倍を計上している。
ルーラ政権は経済危機直後の09年に、投資維持計画(PSI)やミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィーダをBNDESの融資で行いはじめており、この辺から、本来は法律で禁止されている社会政策のための借入が頻繁となったようだ。
これらの借入負債の滞納は、連邦政府予算に関する現状認識感覚を狂わせ、誤った状況のまま、今後の経済見込みを立てることにもつながった。このことは、罷免案を作成したミゲル・レアレ元法相らも指摘している。