6日、下院の大統領罷免特別委員会で、報告官のジョヴァイール・アランテス下議(ブラジル労働党・PTB)が、「大統領罷免審議継続」を正式に薦めた。同特別委員会では、11日にこの意見書を認め、罷免問題を本会議にかけるか否かの投票を行うが、現時点では、下院本会議での罷免審議が行われるのは確実視されている。7日付伯字紙が報じている。
ジョヴァイール報告官は、128ページにわたる報告書を作成し、罷免問題に関する自らの見解を述べた。同報告官は、ジウマ大統領が2015年に行った連邦政府の会計に関し、公共銀行から多額の借入を行ったのにその返済を遅らせ、基礎的財政収支が健全であるかのように見せかけた粉飾会計や、議会の許可も得ずに自由裁量で使える予算枠を拡大する大統領令を出したのは「倫理観にかけた重大な、憲法と責任法への違反」であり、犯罪だとし、「これらのことは、罷免についての審議の継続を正当化するに値する」との見解を示した。
委員会内は、罷免賛成派がジウマ氏の囚人姿の人形などを持って煽るのに対し、罷免反対派が「ゴウペ(クーデター)だ」と叫んで返す物々しい雰囲気だったが、ジョヴァイール報告官は「与党側にいるとゴウペといい、野党側にいると罷免を肯定するのはいかがなものか」と語った。
同報告官は、今回の下院での罷免議案には入らなかったラヴァ・ジャット作戦などの議題も「国を辱めた」とし、上院での審議の際に盛り込むよう希望した。その中には、「ジウマ大統領はラヴァ・ジャットを妨害しようとした」とのデウシジオ・アマラル上議の報奨付証言の内容や、パサデナ製油所の買収問題なども含まれている。
11日の投票を前にして「審議継続」に票を投じることを決めている特別委員は、7日付フォーリャ紙で33人、エスタード紙でも32人と報じられている。連邦政府も既に、特別委員会での審議継続決議は固いと見て、本会議での対策に乗り出している。
政府側の対策は閣僚職などのばら撒きで、進歩党(PP)のシロ・ノゲイラ党首は6日、少なくとも本会議での罷免投票が行われる15日までは連立政権に残るとの宣言を行った。この投票が行われるまでは閣僚人事を行わないことはジウマ大統領が正式に発表済みだが、政府側はPPに役職を多めに与えることで同党を罷免阻止の味方にしようとしている。
だが、その影響で、同党の重鎮で特別委員のひとりのパウロ・マルフ下議が、「政府は票欲しさに党とかけひきした」と憤って「罷免賛成」を表明しており、PPが党をあげて罷免を阻止できるかは不透明だ。
また、全国農牧業連盟が6日に罷免支持を表明し、民主運動党(PMDB)の連立離脱後もジウマ氏支持を宣言していたカチア・アブレウ農相の立場が危うくなり、後任を共和党(PR)に求める動きなども出始めた。
タグ:PT PMDB 写真ニュース ジウマ大統領 ラヴァ・ジャット