下院での罷免審議が進み、国民の信用も失墜しているジウマ大統領だが、今や悪評は海を超え、世界的なものとなっている。
3月中旬に地裁から逮捕されそうだったルーラ前大統領を官房長官に就任させようとしたあたりから、国民や政界からの罷免を求める声が一段と高まっているが、それと同時に、世界の有名なマス・メディアからも同氏に対する批判が強まり、アメリカ、イギリス、フランスなどの新聞からも「辞任すべきだ」「罷免はクーデターではない」などと書かれる始末だ。
極めつけは、アメリカの経済誌「フォーブス」がネットで行っていたアンケート「最も期待を裏切ったリーダー」の1位にジウマ氏が選ばれてしまったことだ。
同誌は3月30日朝、サイト上で「誰がワーストか」とのアンケートをはじめた。候補は19人だが、ジウマ氏以外はアメリカの有名な政治家や企業家がほとんどで、同国の読者を想定した企画だった。
だが、4月1日夜の時点で、ジウマ氏には10万票が入り、州内の公害問題の責任を問われ、2位に選ばれたミシガン州のリック・スナイダー州知事の8千票とは圧倒的な差で1位となった。
3位は国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)のジョセフ・ブラッター、ミシェル・プラティニ両前会長の3900票で、国際的な知名度を持ち、腐敗スキャンダルも大きかった彼らをも、ジウマ氏は凌駕してしまった。
こうした事実は、ジウマ氏が就任1、2年目くらいまでは国内で70%を超える支持率があり、「タイム」誌のような世界的にも有名なメディアから「期待されるリーダー」「注目の女性政治家」などの形でスポットライトを浴びていたことを考えると隔世の観さえある。
罷免請求の内容を審議する特別委員会が11日の投票で罷免審議継続を決め、本会議での審議に移るのは確実で、17日には運命の罷免投票が予想されている。どうやら来週は、ジウマ氏の命運をめぐり、ブラジル国内はもちろん、世界も目が離せなくなるのが確実なようだ。(2日付ヴァロール紙などより)