ホーム | ビジネスニュース | ブラジル大企業に不渡りの懸念=格付け低下で返済が不利に=大手銀行が負債再交渉を開始
アレシャントレ・トンビニ伯国中銀総裁(Antonio Cruz/Agência Brasil)
アレシャントレ・トンビニ伯国中銀総裁(Antonio Cruz/Agência Brasil)

ブラジル大企業に不渡りの懸念=格付け低下で返済が不利に=大手銀行が負債再交渉を開始

 ブラジルの大企業が大きな債務を抱え、債務不履行となる危険性が高まっており、融資元の銀行や政府の心配の種となっていると11日付エスタード紙が報じた。
 ペトロブラスを除く、ブラジル主要15社の国内主要銀行に対する負債額は総額500億レアル、国外の金融機関への債務を含めると、1500億レアルに及ぶ。国内の大手金融機関は互いに協力し、主要企業が債務不履行となる事を避けるための方策を立案した。
 ブラジル国債や、ブラジルの主要企業並びに銀行の信用格付引き下げは、対外債務の期限引き延ばしなどの再交渉を一層難しくさせた。例えば建設会社オデブレヒト社の国外債券は現在、額面の12%の価値で取引されている。
 債務のある会社が債券を買い戻したりする際、より良い条件で再交渉を行う資金として期待されているのは民間銀行が中央銀行に預け入れている供託金で、政府関係者はその一部開放を中央銀行に働きかけている。
 もう一つの方策は、金融機関が自らの所有する資産と貸付資産とのバランスを取るために定められた、バジレイア指数と呼ばれる指数の基準値を若干緩める事だ。
 政府の経済政策関係筋によると、政府保有の外貨(外貨準備高)の取り崩しや、公金の投入を主張する声もあるという。どちらも既に部分的に採用されたが、これらの方策の再採択は可能性が薄いようだ。
 これらの方策は全て、ラヴァ・ジャット作戦などに関与し、多額の負債を抱える大企業が債務不履行に陥るのを回避する事を目的としている。
 「大企業が債務不履行に陥り、和議倒産を申請するような事態が起きれば、そこに融資している債権者や中小の銀行も損害を受け、深刻な問題を引き起こす」と政府関係者は語った。
 負債返済の期限延長や利子、分割方法などの再交渉は去年、特に下半期以降、増えている。再交渉は企業向けのものが中心で、個人債務の再交渉は企業や銀行が抱える債務より困難だという。
 銀行は支払期限延長や利息の減額に応じてはいるが、これらの措置は融資金額が大きな大企業が関係している場合だけが対象で、比較的少額の融資しか受けていない中小企業の場合はそのような措置は取られていない。債務不履行や企業倒産が最初に起きるのが中小企業なのはそのためで、政府では中小企業向けの方策も検討中だ。