ジウマ大統領罷免の動きが加速し、13日のブラジル株式市場は再び上昇を記録し、レアルも対ドルで値上がりしたと14日付伯字各紙が報じた。
サンパウロ株式指数(Ibovespa)は13日、2・21%上昇し、昨年の7月14日以来最大の5万3149ポイントで取引を終えた。
投資仲介業のRico社経済分析員ロベルト・インデック氏は、これまで労働者党(PT)と連立を組んでいた政党が大統領罷免賛成にまわっている事と、中国市場で鉄鉱石価格が2・4%上昇している事が株価押し上げの要因となっているとした。
しかし、米国の投資銀行モルガン・スタンレー社が顧客向けに出した、向こう1年半のブラジル株式の見通しレポートでは、Ibovespaがさらに3割上昇して6万5千ポイントに達する見方から、2割下落して4万1千ポイントにとどまる見方まで、3通りの見通しが掲載されていた。
為替に目を向けると、ブラジル中銀は、12、13日だけで合計130億ドル分もの先物取引的なドル買い(SWAP)による市場介入を行ったが、ドルは対レアルで下落し続け、13日の終値は1ドル=3・477レアルと、今年に入って最安値を記録した。主要銀行関係者は、中銀の介入がなければ、1ドル=3・30レアル台をつけていた可能性があると語った。
中銀は今回の介入により、1ドル=3・5レアルを、インフレ抑制や輸出増進のために適切なレートと考えていることを市場に示そうとしたと専門家筋は見ている。
ジウマ政権が倒れることで、投資家がブラジル経済が好転すると見ていることは、株式、為替以外の指数の変動にも表れ、先物金利や、ブラジルのデフォルトに備えた金融商品であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の値も下降した。
昨年、ドル高レアル安を利用して最も利益を得たのは加工食品会社JBSだ。同社は為替取引で100億レ以上の利益を出したが、同じ戦略を今年も取っていたら、損害を出す事になる。
JBS社は伯字メディアの質問に対し、市場の噂には答えないとした。