13日、ブラジルの60年代カルチャーに強い影響力を持ったイラストレーター、ロジェリオ・デュアルテが入院先のブラジリアの病院で咽頭ガンのため亡くなった。77歳だった。
1939年にバイーア州で生まれたデュアルテは、20代だった60年代にリオに渡ってアートを学ぶが、成功は早いうちに訪れた。
それは彼が、後に「ブラジル最大の映画監督」と呼ばれることとなるグラウベル・ロシャのバイーア時代からの友人だったことにあった。デュアルテは1964年のロシャの映画で、彼の最高傑作であるのみならず、「ブラジル映画史上最高の映画」とも呼ばれる「黒い神と白い悪魔」のポスターのデザインを手がけた。このときに彼が使った鮮やかな赤と緑は、その後の作品でより大胆に使われていくこととなる。
デュアルテはその後、同じバイーア州出身の音楽家、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルと出会うこととなる。カエターノとジルは60年代後半、ビートルズの繰り出したサイケデリック・ロックの実験的な作風に強い影響を受け、そこにサンバをはじめとしたブラジルの伝統音楽を組み合わせた新しい音楽を模索していた。それがやがて「トロピカリズモ」という運動に発展するわけだが、デュアルテは1968年発表のカエターノのデビュー・アルバム、同年発表のジルのセカンド・アルバムのジャケットのアートワークを手がけた。
そこで展開された、赤・黄・緑の原色の色使いは当時のサイケデリック・カルチャーの影響を色濃く投影すると共に、同時に南米の自然やそこに息づく人間の生命力を描き出した。
また、カエターノやジルもそうだったように、デュアルテもこの当時の軍事政権の圧制と戦った人物で、弾圧で受けた心身の傷をバネにし、創作活動につなげていた。
彼はこの後も、ガル・コスタやジョルジュ・ベンなど、同時代に活躍し、その後大物となったアーティストたちのアルバムのデザインで時代を彩った。
デュアルテのアートワークは、国外でも特集個展が開かれるなど、高い評価を受けており、ブラジル音楽愛好家の間では強い支持を得ている。(15日付フォーリャ紙などより)
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