目指せ!プロのバレリーナ=クラコランジアの子らの夢
サンパウロ市中央部クラコランジアにあるバプテスト教会が、サンタカタリーナ州のジョインヴィーレにあるボリショイ・バレエ団が例年10月に行っている入団テストに7人の子供達を連れて行こうと励んでいる。
同教会は09年、麻薬常用者がたむろするクラコランジアで「クリストランジア」というプロジェクトを立て挙げ、その一環として、バレエなどを教えている。
同プロジェクトの参加者は500人以上に上り、様々な活動に汗を流しているが、バレエの授業を担当するジョアナ・マシャド氏は、今年はこれまでより多い7人の子供達をボリショイの入団テストに連れて行こうとしている。
ジョアナ氏はボリショイの入団テスト合格は、バレエが社会的な環境や人生そのものを変える道具になる事を証明してくれると考え、4年前から何人かの候補者を連れて行っている。現時点では合格者は出ていないが、今年はこれまで以上の7人(男子2人、女子5人)を連れて行く。
「私の目的は子供達にバレエを教えると共に、バレエを通して人生の勝利を勝ち取るチャンスを与える事」「一人でも合格者が出れば、皆が自分達にも出来ると思うようになるはず」というジョアナ氏の思いを汲んで、協力を申し出たのは、サンパウロ州でも有数のバレリーナのヨシ・スズキ氏(26)だ。
スズキ氏を始めとするプロのバレリーナ達32人が練習する様子を見た子供達が、目を丸くする様子やプロ達の手を借りて踊る姿は、ジョアナ氏にとっても勲章であり、新たな力の源となる。
銃や麻薬の売買で25回も逮捕された事がある父と、麻薬常用者の母を持つジョアナ氏は、看護婦となるための講座を終え、09年にバイア州内陸部から出て来ると、クリストランジアのコーディネーターとなっていた両親に付き添った。
立ち上げから間がないプロジェクトに1カ月参加したジョアナ氏は、同地区の子供達の実態を知り、プロジェクトから抜けられなくなった。
「1レアルで売春をしていた12歳の子が、クラコランジアの中で男性4人から暴行を受け、助けを求めてきたの。もっと違う人生を思い描いていたけど、私の中の自我が完全に砕かれてしまったの」というジョアナ氏は、この時から、麻薬常用者の子供達や家賃が安いからと移り住んでくる家族の子供達のために活動し始めた。
最初はヒップホップを教えようとしたが、子供達が参加しなかった事もあり、誰にでも出来て楽しく、教育効果も期待できるものとしてバレエに取り組む事にした。
ジョアナ氏が師事したバレエの教師は、ジョアナ氏に奨学金を出し、10人の子供にも授業に参加するよう勧めた。
ジョアナ氏は来月、ロイヤル・バレエ団で7年目のテストを受ける。来年は修了証書を受け取る事ができるというジョアナ氏は、「バレエはこの地区の全ての悲しみを芸術と喜びに変えてくれる。子供達にも良い効果が出ているわ。この子達は私を鏡のように見ているし、その事は私にとってもとても大切なことなの」と目を細めた。(14日付G1サイトより)