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15日の下院本会議の様子(Marcelo Camargo/Agência Brasil)
15日の下院本会議の様子(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

ジウマ罷免問題=明日、運命の罷免投票=既に「賛成多数」の予想の中=最高裁判断での逆転もなく=白熱の本会議も進行中

 14日、最高裁は国家総弁護庁(AGU)が提出した、ジウマ大統領(労働者党・PT)の罷免審議継続を問う17日の下院本会議の票決差し止め要請を否決した。大方のメディアの予想では既に、下院での投票で罷免審議継続(上院への送付)となるのは確実とされ、逆転する要素がほとんどなくなった。下院は15日から罷免請求の内容を審議する本会議に突入し、17日に運命の投票が行われる。15日付伯字紙が報じている。

 2月まで法相をつとめていたジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾAGU長官(PT)は、特別委員会のジョヴァイール・アランテス報告官(ブラジル労働党・PTB)が取り上げた罷免請求の内容以外のことも本会議で審議されることを不服とし、17日の本会議での票決の差し止めを最高裁に訴えた。
 また、労働者党のパウロ・テイシェイラ下議も特別委員会が承認した罷免審議継続を是とする意見書の無効化を訴えた他、投票の順番変更を求める訴えも出ていた。
 これに対し、最高裁は「下院の審議に違法性はない」「下院の判断を尊重する」として、投票差し止めや順番変更を求める訴え5件を、全会一致または圧倒的多数で否決した。
 AGUの要請が否決されたことは、ジウマ大統領にとっては非常に痛いものとなった。連立与党の相次ぐ離脱もあり、エスタード紙、フォーリャ紙、ヴェージャ誌による下議の投票見込みは、14日のうちに軒並み、罷免成立の基準となる342票に到達か目前となっていた。罷免反対はいずれも120票台で、罷免阻止の172票に50票近く不足している。
 また、17日の投票順については、与党側が求めた「投票は議員のアルファベット順」ではなく、エドゥアルド・クーニャ下院議長が言う「北から州別に」という方針が7対3で支持された。当日はロライマ州の議員からはじまり、北から南に上下しながら西から東に向かい、アラゴアス州で終わる。
 下院本会議での罷免審議は15日にはじまり、罷免請求作成者らからの告発とAGUの擁護の後、政党毎の議論が行われた。16日は、発言を希望した議員ら100人以上が持ち時間の中で各自の主張を行う。17日の午後2時からの投票では、一人ずつ壇上に上がり、審議継続に賛成か反対かを表明する。
 15日朝、大統領の擁護にたったカルドーゾAGU長官は改めて「罷免はゴウペ(クーデター)であり、復讐だ」との持論を展開した。罷免請求案の作成者のひとりであるミゲル・レアレ元法相はそれに先立って壇上に立ち、「ゴウペとは、財政の実情に蓋をして事実を隠し、国が壊れて行くのをそのままにしておくことだ」と語った。
 こうした状況の裏で、ジウマ大統領はテレビ放送で改めて罷免反対を訴える方向性だ。一方、テメル副大統領は早くも、大統領就任に備え、財相や法相の候補を考えはじめているという。