サンパウロ市在住のリンコーン・マコト・ナガオカさん(40、三世)は、両親と奥さんの4人で、パウリスタ大通りで開かれた罷免支持デモに参加した。「国民がデモに結集することで、汚職に対する怒りを声にすることが重要だ」と語気を強めた。
同時に、「これは政治変革の幕明けに過ぎないが、これが汚職を一掃するための突破口になることを期待したい」と祭りのような賑やかな雰囲気とはうってかわって、真剣さを滲ませた。
一方、日本へのデカセギ経験を持つ城間誠さん(47、二世)は、「我々には選択肢がない。テーメル副大統領が大統領になっても、最悪な状況であることに変わりはない」と憂慮する。
「汚職がなくなるまで闘い続けなくてはならない。ブラジル民主運動党(PMDB)も信用できないし、テーメルが同じようになれば、もう一度引きずり降ろさないといけない」と強調した。
労働者党(PT)に対しては、「社会主義を標榜しているものの、実態は異なる。経済格差の是正どころか自党の私腹を肥やしている」として不満を露にする。ただし、ジウマを大統領に選挙で選んだのは国民であり、「我々も賢くならなければならない」と教育改革の必要性など、国民の意識改革が大事だと考えている。
マサユキ・ヨコヤマさん(64、二世)は、「政治家は国民の召使ではなく国民の主であるという風潮が、この国では平然と罷り通っている」と政治文化の根本問題を提起した。
「日本では汚職が露呈すれば、それを恥として責任を取って辞任するのが筋だが、ブラジルの政治家は汚職がなんだと開き直っている。汚職を政治伝統として片付けるのではなく、政治概念の根本を正す必要がある」と汚職との闘いが長期戦になるであろうと見通した。