下院でジウマ大統領(労働者党・PT)への罷免請求が可決された翌日の18日、下院から上院へ、同件の審議要請が行われた。一方、ジウマ大統領は18日の会見で下院での投票結果に対する怒りを表明し、「戦いは始まったばかりだ」と宣言した。一方、ミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)の、大統領昇格時に向けて人事構想も報じられはじめている。19日付伯字紙が報じている。
レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党)は18日、下院から報告を受けた後、「我々は、世の中に後遺症を残さぬよう務めていきたい。なぜなら、罷免の過程というのは後遺症が残りやすいもので、長いものだから」と語った。
この発言は、ジウマ罷免派からは反発を招いたが、エドゥアルド・クーニャ下院議長(PMDB)も「審議をグズグズすると、国に大きな損害が及ぶ。ただでさえ政府が宙ぶらりの状況なのだから」と上院審議の迅速化を望んだ。
レナン上院議長は親ジウマ派として知られており、今回の罷免についても、下院での投票で差が開いたため、審議差し止めこそは行わないと見られているものの、罷免に積極的な方ではない。
レナン議長は同日夜、リカルド・レヴァンドウスキー最高裁長官と会談し、1950年制定の罷免法を元に、今後の罷免審議に向けたスケジュールの調整をはじめた。
一方、17日の投票で惨敗に終わったジウマ大統領は会見に臨み、「投票は不公正なもので激しい怒りを覚えた」と語った。ジウマ氏は国家総弁護庁が最高裁に控訴する意向であることをほのめかした上、テメル副大統領を改めて「裏切り者」と非難した。
ジウマ氏は「軍政下で生きる方が遥かに辛かった。今、私の夢や権利は踏みにじられている。だが、誰も私の胸の内にある希望を殺すことは出来ない」と語った。
ジウマ大統領罷免に関しては、来週早々に設置される上院特別委員会で下院からの要請に応えるか否かを審議した後、5月11日頃の本会議で同件に関する決を採る。そこで上議(81名)の過半数の41名以上が賛成すれば上院での罷免審議開催が決まり、大統領は最大180日間の職務停止となる。
また、ジウマ氏罷免なら昇格となるテメル副大統領は、大統領就任に向けた人事構想をたてはじめている。エスタード紙によると、官房長官にモレイラ・フランコ氏(PMDB)、財相はアルミニオ・フラガ氏やエンリケ・メイレレス氏らの元財相や元中銀総裁、法相に元最高裁判事のアイレス・ブリット氏らの名が挙がっている。ジョゼ・セーラ氏(民主社会党・PSDB)の閣僚入りも考慮されているようだ。
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