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初の詩集を手に微笑むファッチマさん(Maria Lourdes da Silva/Divulgação)
初の詩集を手に微笑むファッチマさん(Maria Lourdes da Silva/Divulgação)

初めての詩集刊行の喜び=元廃品回収業者の一女性

 サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市に住むファッチマ・ドス・サントス・オリヴェイラさん(61)が、26日に初の詩集を刊行した。
 『詩で描く私の世界』という題の本は、2010年に参加した劇のワークショップでもらったパンフレットに書かれていた詩がきっかけとなって生まれた。
 小学校も5年までしか出ておらず、リサイクルが可能なゴミを集めて食べていたファッチマさんにとり、自分の中に湧き上がる思いを書きとめておく事は数少ない楽しみだった。いつも小さなノートを持ち歩き、仕事に行く時、道を歩いている時など、折々に感じた事、思った事を書きとめると、帰宅してから友人達の手を借りてきちんとした文章に書き直すという作業を繰り返す。
 「物知りでもないから本当に簡単な韻を踏んだものだけど、世の中の人に私にできるものを見てもらいたいの」というファッチマさんは、こうしてためた作品を1冊の本に仕上げた。
 バイア州ボン・ジェズス・ダ・ラッパ市で生まれ、1986年にモジ・ダス・クルーゼスに来たファッチマさんは、10年間、廃品回収業者として働いたが、いつも、芸術活動に就く事を願っていた。
 「そのためには時間をとって勉強し、もっと多くの事を知らなければと思った」ファッチマさんは、土地を購入した時点で廃品回収を止め、劇や歌唱、文学のグループなどに参加し始めた。
 そういったワークショップでもらったパンフレットに書かれていたのは、町の図書館の司書で作家のアウロ・マラキアス氏の詩だった。
 この詩に心を動かされたファッチマさんは、以後、自らも詩作にのめりこんでいく。
 夜という作品は「夜が好き 私と夜だけ 道が好き 私と道だけ」という短いもので、廃品回収業に従事していた頃に、様々な道や様々な場所を歩き、あらゆるタイプの人を見てきた事を反映した作品だ。
 その頃から詩には心惹かれていたが、どのように表現すれば良いかを知らなかったというファッチマさんが、6年かけ、様々な学びを重ねながら書き溜めた作品は79に上る。処女詩集刊行の日、ファッチマさんは「私の夢や私の作品はシンプルだけど、夢が叶って本当に幸せ!」と満面の笑みを浮かべた。(26日付G1サイトより)