海外日系人協会が要望している「重国籍者へのジャパン・レールパス発行」について、実は2年前から適用されていたことが、同協会の調査で分かった。JR東日本から得た回答によると、「居住国と日本のパスポート、居住証明を見せれば使用できる」。日伯の二重国籍保持者も、規定の上では2014年から利用可能となっていたようだ。ただ当地の旅行代理店は、「最近でも引き換えを断られたケースがある。周知が不完全では?」と、取り扱いに懸念を示している。
本紙に20日、日系人協会から調査結果がメールで寄せられた。JR東日本・本店営業部の14年2月7日付け通達「ジャパン・レールパス取り扱い方法の変更について」に詳細が通知されていたという。
同社の外国人専用窓口「JR East Infoline」によれば、「14年4月1日より運用が変更され、日本のパスポート、居住国のパスポートに加え、居住証明書類によってレールパスが使用できる」とのこと。
居住証明にはブラジルの身分証明書が望ましいが、住所の記載さえあれば「運転免許証や銀行の残高証明、最悪の場合、本人宛の手紙などで確認できる」という。
12年11月には当地旅行代理店に、「二重国籍者は引き換え券とパスを交換する権利はない」との通知があったが、14年4月から運用が変更されていたようだ。
今回の通達を知った日系旅行業者は、「日本国内にある各地の引き換え窓口で、充分に周知されていないと思う。最近でも大阪で断られた方が、東京では引き換えできた例があった」という声も。
対しJR側は「東日本では共通の対応だが、東海、西日本ほかJR各社は、現在別会社なので同様の対応であると明言はできない」と回答。利用者は成田、羽田両空港到着時に、引き換えることが無難のようだ。
また別の旅行業者は「二重国籍者は出入国時に日伯旅券を使い分ける。窓口では訪日目的が、観光か就労か区別がつかない。余計に混乱を招くのでは」との指摘もあった。
なお16年4月現在、パスは大人1枚を2万9110円(7日間、普通車)から販売されている。
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