15年11月5日にミナス・ジェライス州マリアナ市で起きた、サマルコ社の鉱滓ダム決壊事故で、重金属などを含む汚泥が流れ込んだドッセ川流域では今も、健康被害などを案ずる住民達が飲用水を外から購入したり、水源地まで取水しに行ったりしている。
ドッセ川は、ミナス州からエスピリトサント州を経て大西洋に流れ込むが、エスピリトサント州北西部のコラチーナ市の住民は、汚泥ですっかり色が変わり、死んだ魚が大量に浮いたりし、浄水場への取水も停止された川の様子を忘れる事が出来ずにいる。
コラチーナ市では「水道から出る水は飲めなくて」という人達が、ミネラルウオーターを買う、湧き水や川の水源地に水を汲みに行くといった方法で毎日を過ごしている。沸き水などを汲める場所はいつも人がおり、週末や夕方には長い列が出来るという。
同市でも1月末まではサマルコ社がミネラルウオーターを無料配布していたが、2月以降は配布がなくなり、代替案を求める人の列がひきもきらない。
6日に1度、10リットル入る入れ物四つと20リットルの入れ物四つに水を汲みに来るジェラウド・ボオネさん(65)は、「うちでは食器を洗うのにもこの水を使うよ。汚染された水で病気にでもなったら怖いからね」と言う。
水源地までは遠いという大工のワラセ・ピメンタさん(23)は、自分達と友人2人のために、荷台と後部座席にビンを満載し、200リットル分の水を汲んで行く。ドッセ川から取水し、浄水場で処理した水で入浴した妻が痒みを訴えた事があるというワラセさんの家では、湧き水は食事の準備や飲用だけではない。「生後5カ月の息子の入浴にも使うよ。ドッセ川の水は安心できないからね」という。
レストランを経営するファビオ・ダウチオさん(42)は、毎週3回、水源地まで行き、約1500リットルの水を運んでくる。別の店の経営者達と共同でポンプを購入した上、車を1台確保して水を汲みに来るというファビオさんは、「経費や手間だって馬鹿にならない」とこぼす。
市民達が水の確保に奔走する中、コラチーナ市長のレオナルド・デプツウスキ氏は、「ドッセ川の水も毎日テストしているから大丈夫」と言う一方で、ドッセ川で何か起きた時のための水源確保にも心を砕く。
同市長によれば、サマルコ社が行っているサンタマリア川からの取水工事が完成すれば、パンカス川からの取水分とあわせて毎秒300リットル確保出来るので、同市が必要とする毎秒400リットルの確保は夢ではないと見ている。(3日付G1サイトより)