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クーニャ下院議長(Antonio Cruz/Agencia Brasil)
クーニャ下院議長(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

連邦最高裁=クーニャ氏に議席剥奪の暫定令=大統領停職直前のタイミング=被告の国家元首代理を避け=カルドーゾ長官、罷免無効を主張

 連邦最高裁(STF)のテオリ・ザヴァスキ判事は5日朝、エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)の議席剥奪の暫定令を出したと5日付伯字各紙サイトが報道した。

 今回の暫定令は、昨年12月に連邦検察庁(PGR)のロドリゴ・ジャノー長官が出した要請に基づくものだ。同長官はその要請書の中で、クーニャ氏は〃犯罪者〃と明確に定義している。
 クーニャ氏は、ペトロブラス社関連の汚職を扱うラヴァ・ジャット作戦(LJ)で、収賄やマネーロンダリングなど十数件の容疑で告発されており、捜査妨害や恐喝などを取り上げた起訴状はSTFも受理、既に被告の身だ。STFには現在も複数の捜査開始許可申請が出されており、LJの報告官であるテオリ・ザヴァスキ判事の判断待ちとなっている。
 PGRが12月に出した議席剥奪要請は、本人の弁明を聞く必要などがあって判断が遅れていたが、4月17日の下院本会議でジウマ大統領罷免審議継続が承認され、上院での弾劾裁判開始の機運が高まった事で、労働者党(PT)やPGR、社会運動家からの〃圧力〃が増していた。
 ザヴァスキ判事は5日朝、暫定令の内容をクーニャ氏にも通達済みで、クーニャ氏は告訴する意向だが、ザヴァスキ判事は、5日のSTFの本審理で他の判事からの承認も得る意向だ。
 5日の本審理では、マリーナ・シウヴァ氏率いる持続ネットワーク(Rede)が3日に提出した、被告となった人物が大統領代行となる事の是非を問う案件についても議論が交わされる。ジウマ大統領が停職となればテーメル副大統領が昇格するが、テーメル氏不在時は下院議長、上院議長、最高裁長官の順で代行者が決まる。Redeの案件は憲法解釈でよりシンプルな事と、11日の上院本会議が近い事とで、リカルド・レヴァンドフスキ長官は4日午後、同件を5日に審理する事を決めた。
 大統領罷免に関しては、上院特別委員会報告官のアントニオ・アナスタジア上議(民主社会党)が4日、「ジウマ大統領が罷免に値する行為をした事は明らかで、上院での罷免審議の継続を支持する」との意見書を発表した。意見書の内容が6日の特別委員会で承認されれば、本会議での審議にかけられ、11日に投票となる。
 この時点で過半数が賛成なら、大統領は180日間停職となり、テーメル副大統領が大統領に昇格。その後の特別委員会と本会議で弾劾裁判開始が決まれば、STF長官を議長として裁判が始まるが、結審までの時間の制限はない。
 クーニャ氏の議席剥奪の暫定令が出た事で、大統領擁護役のジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ国家総弁護庁長官は「これで大統領罷免を即刻無効にすることを主張する。クーニャ氏は自分への捜査を妨害するために大統領罷免のプロセスを利用した事がはっきりした」と語った。