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リカルド・レヴァンドフスキ最高裁長官(Carlos Humberto/SCO/STF)
リカルド・レヴァンドフスキ最高裁長官(Carlos Humberto/SCO/STF)

最高裁=11対0でクーニャ停職決定=職権濫用し捜査妨害の嫌疑=副議長もLJの捜査対象=早期議長選を求める勢力も

 【既報関連】連邦最高裁判所(STF)は5日、11対0でエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)の議員権を停止し、下院議長職を解く暫定令を承認。同議長は、11日にも起こりうる、ジウマ大統領の180日間の停職に伴うテーメル副大統領(PMDB)の暫定大統領就任後の大統領代行権も失われたと6日付伯字各紙、サイトが報じた。

 ロドリゴ・ジャノー連邦検察庁(PGR)長官は昨年12月、クーニャ議長が職権を濫用し、検察や下院倫理委員会による自身を標的とした汚職捜査を妨害しているとして、同議長の停職を命ずるようにとの要請を出していた。それを4日夜、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)担当報告官のテオリ・ザヴァスキ判事が受け入れ、同議長の議席剥奪の暫定令を出した。
 同暫定令は、同議長への通達が行われた5日にSTF全判事による本審理にかけられ、満場一致の11対0で承認された。これにより、LJの被告でもあるLJの被告でもあるクーニャ議長は即座に下院議長職を解かれたが、議員としての権利は、下院本会議による罷免または辞職まで保たれるため、不逮捕特権などは保持される。
 12月に出された捜査停職要請から結論が出るまでの時間が長引いたことには批判の声も上がったが、リカルド・レヴァンドフスキ長官は「司法手続きは厳粛なもので、政局の都合に合わせたり、軽率なメディアに乗せられて行うものではない」とはねつけた。
 ジウマ大統領はこの決定を歓迎し、「決定は遅れたが、行われないよりずっとまし」と述べた。しかし同大統領の関係筋からは、時間がかかった事が、罷免派を利したとの声が上がっている。
 ミシェル・テーメル副大統領の関係者筋からは、同副大統領は自身の暫定政権の火種となりかねないクーニャ下院議長を厄介払いできて安堵しているが、彼の報復と、PMDB党内でも絶大な存在感を誇ったクーニャ氏が停職となったことで権力争いが起こることなどを心配しているとの情報が出ている。
 クーニャ被告は嫌疑を否定し、不服申し立てをする意向を示しており、自分はジウマ大統領罷免審議を進行させたことで報復を受けたと語っている。
 なお、クーニャ氏が下院議長職を解かれたことで、ワウジール・マラニョン副下院議長(進歩党・PP)が17年の2月まで議長代理を務めるが、同副議長も資金洗浄と資産隠しなどで、LJ作戦の捜査対象となっており、資格の有無が疑われている。
 下院では既に民主社会党(PSDB)、民主党(DEM)、社会民衆党(PPS)、社会民衆党(PSB)などから、下院議長選挙の前倒しを求める声が出ている。