三大格付会社の一つのフィッチ・レーティング(F社)が5日、ブラジル債を格下げしたと6日付伯字各紙が報じた。
政局が不安定なことと経済の更なる悪化が、昨年12月に続いての格下げにつながった。
F社はすでにブラジル債を投資不適格級のBB+にしていたが、今回は更に1段階下げてBBとした。デフォルトの危機が少なく、低利率で融資を受けられる、投資適格級の国は、AAAからBBB-の間で評価される。
格付け見通しはネガティブ(弱含み)とされており、今後12カ月の内に50%の確率で更なる格下げも起こりうる。
これにより、F社によるブラジル債の評価はスタンダード&プアーズ社、ムーディーズ社による格付と同じ水準になった。財務相は同件へのコメントを避けている。
F社は、ブラジル経済の悪化が予想を上回るスピードで進行していること、政府による財政目標値が不十分なことの他に、17年にはブラジルの債務が国内総生産(GDP)の8割に達するであろうことに着目している。
GDPの8割に及ぶ債務は、同じBBの格付けのボリビアやクロアチア、パラグアイ、グアテマラなどと比較しても高い値だ。来週中に発足が確実とされるテーメル暫定政権は、債務の増大を食い止めるため、歳出削減、歳入拡大を余儀なくされる。
「ブラジルの直面している経済危機、財政危機を鑑みるに、政府が強いリーダーシップをとって改革を進めねばならないが、そのための時間は決して長くない」とF社は発表した。
ブラジルの経済専門家達は今回の格下げを当然の成り行きと受け止めると共に、「弱含み」との見通しは、テーメル氏に「経済の立て直しは迅速に行わなければならない」ことを伝えるメッセージだと解釈している。