ブラジル世界救世教いづのめ教団は1日、サンパウロ市南部の聖地グァラピランガで月次祭(つきなめさい)を行った。同教団の世界現トップ、小林昌義理事長夫妻が就任以来、初来伯して式典に出席した。南米では滅多にない機会とあり、近隣諸国やアフリカからも信徒約2万人が集った。
月次祭は過ぎ去った1カ月間の神徳を感謝し、次の月の守護を祈願するもの。午前9時にマルコ・レゼンデブラジル本部長らが神殿に登壇。「一番大切なことは他人を大事にすること、それが幸せの秘訣」との岡田茂吉明主の教えが読み上げられ、信徒らは熱心に聞き入った。
小林理事長が静かに登壇し、ゆっくりと神殿に礼拝、信徒へ向けて浄霊が始まった。右手を肩ほどの高さでかざした手を5分ほど会場の隅々まで少しずつ動かしていく。浄霊の間、神殿付近で大声を上げて泣いている女性の声が響き渡った。
レゼンデ本部長が挨拶に立ち、「小林理事長を迎えられ、特別な日となった。皆さんに紹介できることを、渡辺哲男前理事長も大変喜んでいると思う」と紹介した。
現理事長は「全ての人々は『メシア』になるためにこの世に生まれてきた。神に感謝し、私の全てを御心のままに使っていただきたい」と現教主・岡田陽一氏のメッセージと神への祈りの言葉を代読した。
小林理事長は、渡辺前理事長との間で当地に関する話題が出た時の逸話として「出発の2、3日前からソワソワしていて『ブラジルは天国だ!』と言っていた」と語り、笑いを誘っていた。「渡辺さんはブラジルが好きで本当に愛していた。それがここへ来てよく分かった。今日はここに一緒に来ていると思う」と語ると大きな拍手が送られ、目を潤ませる人も見られた。
「聖地に来ることが出来、私は世界一幸せだ。今ではこの地から南米諸国やヨーロッパ、アフリカなどへ教えを広めに渡っている。世界の信徒にとって誇り。レゼンデ本部長が良き指導者として世界布教を成功させることを願っている」とポ語での挨拶を披露、信徒から大きな歓声と拍手が起こった。
アフリカ本部長のクラウジオ・ピニェイロさん(42)はサルバドール出身。今回は小林理事長に会うために南ア共和国、モザンビーク、コンゴ、アンゴラから13人で来伯。「みなとても感動していた。アンゴラの首都ルワンダに新聖地を建設中で、エジプト伝道も始めるつもりだ」と士気が上がっている様子だった。
北東伯アラカジュから来たマリア・フランシスカ・ドス・サントスさん(76)は1年前に入信。何度もこの聖地での式典に参加しているという。「小林理事長の話は素敵だった。また来てほしい」と語った。
式典後、理事長夫妻はブラジル以外からの参加信徒と写真撮影。一人一人と握手し、労いの言葉をかけながら見送っていた。
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サンパウロ市グァラピランガ湖畔に20万坪の広大な敷地を持つ世界救世教の聖地。渡辺哲男前理事長がデザインし、95年に竣工。一際目を引くのは古代ローマを彷彿させる神殿だ。「当初は屋根や壁もあるデザインだったが『空が天井、自然が壁だ』という夢を見た渡辺氏の発案で今の様式に変更された」と宣教・研修課長の山田智一氏は説明。同教団の聖地は日本、タイ、ブラジルの3カ所。南米聖地には北中南米、欧州、アフリカからも信徒が集まるが、消防法の規制で2万5千人までしか入れない。アンゴラ聖地が完成すれば、分散されて参加できる人がもっと増えるかも?