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不況のブラジルから一路チリへ=ハイチ人難民が民族移動

 ブラジルにかけた〃希望の未来〃への期待も今や昔―。2010年に発生したハイチ地震により難民となってブラジルに身を寄せていたハイチ人が、経済危機に音を上げ、ブラジルを離れ始めていると8日付フォーリャ紙が報じた。
 10年台初頭からアクレ州を経てブラジルに入ってきたハイチ人は約4万5千人。サンパウロ市やクリチーバなどに陸路で移動してきた人々は今、陸路でブラジルを離れ、チリに向かっている。同国の最低賃金はブラジルを100ドル前後上回ると言われている。
 「家賃や水道代、光熱費さえ払えない。ハイチの家族への仕送りなんてなおさらだ。来た時とは大分状況が変わってしまった」と語るジャン・アントニー・カミーユさん(42)は今週、新天地を求め、パラナ州からチリに旅立った。
 サンパウロ市とチリの首都サンチアゴを週一で結ぶバス会社によると、チリ行きの便の需要増大は昨年末から顕著になったという。しかし、ほぼ毎週、亜国とチリの国境で必要書類を所持していないためにチリへの入国を禁じられる移民がいる。バスの運転手の一人は、「必要書類を持っていない12人を降ろさなくてはいけなかった」と語る。
 チリ入国には、ブラジルとの往復バスチケット、ブラジルの外国人登録証、チリ在住者からの手紙が必要だ。多くの場合、先着の同胞が書いている。
 「ハイチ人は手紙をコピーしている。国境警備でそれが発覚するとそこで捕まるのさ」とサンチアゴ便の運転手、セルジオ・フォントウラさん(38)は語る。