08年の金融危機以降、ブラジル籍者は大幅に減少し、15年現在で約17万3千人になった。それに同調して、犯罪件数も減少の一途にある。警察庁が今年3月に発表した2015年の「来日外国人犯罪の検挙状況」によれば、検挙人員に関して、最近10年間で最も多かった06年の3分の1まで大幅に減少した。しかし、車上狙いや自動車盗が多いブラジル人犯罪の特徴は続いており、楽観はできない状況といえそうだ。
外国籍の検挙人員を国籍別に見ると最多は中国で3637人。ベトナム、フィリピン、韓国と続き、5位がブラジルの461人(4・6%)となる。ここ10年で最多だった06年(1348人)からは6割以上の減少となった。
検挙総件数は14267件で、1位は中国の4615件で32%を占める。2位はベトナム人が3315件で23%。続くブラジル人が3位(1410件)で9・9%。07年のブラジル人検挙数7696件から8割以上も減った。
直近10年の傾向として、ブラジル人犯罪には自動車に関する窃盗が目立つ。ブラジル人による刑法犯検挙件数の8割以上が窃盗で、そのうち自動車盗が74%を占める。また車上狙いの74・4%がブラジル人で、外国籍の中で最多。
薬物事犯に占めるブラジル人の割合は13年まで最多だったが、14年以降はフィリピンに次いで2位となっている。
ブラジル人犯罪には、検挙人員に比べて件数が多い傾向がある。容疑者1人当たりの犯罪件数が日本全体では1・49件なのに対し、ブラジル人の場合は3・05件と2倍。一人の容疑者が複数の犯罪に関わったことを伺わせる。とはいえ、05年には5・5件に上っていたので大幅に減少している。
なお、外国人犯罪全体で見ると、刑法犯の検挙件数のピークは05年の3万3037件で、その後は減少を続け、10年には1万4025件、15年には3分の1以下の9417件まで下がった。ブラジル籍者の件数はそれよりも高い比率で下がっている。
なおブラジル人の刑法犯検挙1282件のうち、デカセギの多い愛知県などの中部地域が865件(67%)を占める点も特徴だ。東京都を除く関東地域では307件(24%)となっている。
残念なことに少年の刑法犯検挙件数では、ブラジル籍は107件で3年連続1位。とはいえ、ここ10年間でブラジル籍少年の犯罪数自体は、5分の1以下に減っている。