テーメル大統領代行(民主運動党・PMDB)は、今年度の基礎的財政収支の1200億レアルを超える赤字(蓄積された負債にかかる利息の支払いは含まない)というジウマ政権の負の遺産の事後処理から手をつけねばならない。またエンリケ・メイレーレス財務社会保障相は、財政再建のため、通称銀行小切手税(CPMF)期間限定での復活を示唆したと14~16日付伯字各紙が報じた。
基礎的財政収支の赤字額は、前ジウマ政権が認めた967億レアルを大きく上回るもので、今年度予算の黒字目標の見直しは必至だ。
エンリケ・メイレーレス新財相は13日、就任後初の記者会見で、経済危機や国家財政危機を食い止めるためには、歳出削減や期間限定での新税などの厳しい措置をとらなければならないとの見解を明らかにした。同相は、金融取引暫定納付金(CPMF・通称小切手税)の期限付き復活も選択肢から外していない。同相は、ブラジル経済への国内外からの信頼回復や、公共投資を活性化させて国民の収入や雇用の減少を食い止めるためにはCPMFの復活が不可欠だと考えている。
暫定政権は今週中に、今年度の基礎的財政収支の黒字目標見直しを行いたい意向だ。今週中に新しい目標額が承認されないと、政府は予算を再凍結しなくてはならなくなり、発足直後から政権運営が危機に直面する事になる。
テーメル暫定政権最初の週は他にも二つ、重要な課題がある。財政・社会保障改革と、経済閣僚チームの人選だ。テーメル大統領代行は16日、労働法と社会保障改革の実施のために主要な労組の代表と会合を持った。
主要労組は既に、新政権が示唆した定年のための最低年齢設定や年金受給までに必要な年金支払い年数の引き上げに難色を示している。ジウマ大統領の罷免審議継続に賛成した労組フォルサ・シンジカル代表のパウリーニョ・ダ・フォルサ下議(団結の党・SD)も、13日に社会保障改革案に異を唱えている。
16日午後の会合には、政府側からは財相、官房長官、労相が参加。労使側からは、フォルサと一般労組(UGT)、ブラジル組合センター(CSB)、新中央労組(NCST)の代表者が参加したが、労働者党などとの繋がりが強い最大労組の中央統一労組(CUT)やブラジル労働者センター(CTB)は欠席した。
テーメル氏は労組との会合前にメイレーレス財相と会合を持ち、中銀総裁や財務省のスタッフの人事についても話し合った。財相、企画相と並ぶ〃経済主要スタッフ〃である中銀総裁にはイタウ銀行チーフ・エコノミストのイラン・ゴールドファジン氏が有力視されているが、現職のアレシャンドレ・トンビニ氏留任の可能性もある。メイレーレス財相は16日に中銀総裁と財務省の幹部スタッフを発表する予定だったが、発表は17日に延期された。