【既報関連】ジウマ大統領停職を受けて発足したテーメル暫定政権が、中南米諸国からの批判に対して矢継ぎ早に外交文書を発行、労働者党(PT)政権との立場の違いを明確にしたと14~17日付伯字紙が報じた。
テーメル暫定政権は12日、ジウマ大統領に対する罷免手続き開始により同大統領が180日間停職となったため、暫定政権が発足した事を知らせる文書を外交関係のある国全てに送付した。
欧米諸国は概ね、罷免問題を静観する立場を示しているが、中南米からはジウマ氏が繰り返し述べた「クーデター」との見方を真に受け、ブラジル議会を批判したり、暫定政権を認めないと言い出したりした国が出ている。
大統領罷免は「議会と司法によるクーデター」と批判し始めたのは、南米諸国連合(ウナスル)のエルネスト・サンペル事務局長やベネズエラ、ボリビア、キューバ、エクアドル、ニカラグアといった国々だ。
これに対しブラジル外務省は13日、「ボリバリズムを唱える国による偽った宣伝に対する明確な答え」として、「罷免手続きは憲法にも明記されており、最高裁が示した手順に従って行われた」とする文書を出した。
ベ国では12日、大統領罷免は「クーデター」としてジウマ氏支援を呼びかける動きが起き、13日にはニコラス・マドゥーロ大統領がブラジル駐在の同国大使を召還した。キューバでは、国連その他の国際機関に「ブラジルでクーデターが起きている」と警告する文書を大量に送付したという。
これに対し、ジョゼ・セーラ外相は「批判には明確に答える」意向を表明し、テーメル大統領代行もそれを支持。同外相は14日のテレビインタビューでも「強い口調で虚偽の告発をするほど、強いトーンで反論する」姿勢を明確にした。
ベ国政府は14日、カラカスのブラジル大使館への電話で「大使召還は会合のためで、国交断絶はない」と伝えてきたが、エルサルバドルのサンチェス・セレン大統領は同じ日、「従来のクーデターは軍主導だが、今回は上院による政治的なクーデター」「暫定政権を認めない」と断言した。
これに対し、ブラジル外務省は16日、「同国がブラジルの憲法や議会の正当性を知らない事が明らかになった」とし、「ブラジルとの交易が盛んで、技術協力の恩恵を中米で最も受けている同国がこれほどの表現でブラジルを挑発してくるとは不可思議だ」との文書を送付した。
13日の文書はセーラ氏が作成に関わり、テーメル大統領代行もそれを手伝ったとされており、PT政権との外交姿勢の違いが明確にされた。
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