1月最終週に各州選手権が開幕して3カ月半余り、5月14日に今年のサッカー全国選手権1部リーグ「ブラジレイロン」が開幕した。
州選手権やリベルタドーレス杯の戦績から、優勝チームを占うと、最有力候補と目されるのは、昨年優勝のコリンチャンスと2位のアトレチコ・ミネイロ、ブラジル杯優勝のパルメイラスの3チームだ。
昨年は2位以下に大きく差をつけて独走優勝したコリンチャンスだが、今年もその再現がなるかと言えば疑問符が付く。
コリンチャンスは昨年の独走優勝でサッカー界での評価が高まったことが災いし、開幕前に中国やフランスのチームに主力を大量に引き抜かれた。慌てて補強し、名将チッチの〃やりくり〃で、サンパウロ州選手権、リベルタドーレス杯を順調に勝ち進むも、決勝トーナメントで勝負弱さを露呈。PK負け、AWAYゴールルールでの敗退と、ファンのストレスが溜まったまま、全国選手権の開幕を迎えたが、ここでも、強敵グレミオ相手とはいえ、0対0の引き分けを演じてしまった。
リベルタドーレス杯での早期敗退でモチベーションの下がった選手にまたも中国からの誘いの手が伸びているとの噂もあり、さらなる戦力ダウンが起これば、今年の戦いは苦しいものになる。
2位のアトレチコ・ミネイロは、今年補強の元セレソン、ロビーニョの評価が高い。1位コリンチャンスにスポットライトがあたったことで、引き抜きの被害に遭ったのとは対照的に、主力の流出もほぼなく、「コリンチャンスが下がればあとは…」の予想も妥当なところか。
続いて評価の高いパルメイラスは、リベルタドーレス杯で調子に乗れず、昨年のブラジル杯優勝をもたらしたマルセロ・オリヴェイラ監督を解任したが、後任で2013年リベルタドーレス杯優勝の経歴を持つクーカ監督が大型補強による戦力をまとめあげてきたところで、全国選手権開幕戦を迎えた。ホームでのアトレチコ・パラナエンセとの開幕戦を4対0でものにしたこともあって、ファンの期待も高まっている。
しかし、全国選手権は6カ月半で38試合を消化しなくてはならない〃世界一の過密日程〃で、6月のコッパ・アメリカ、8月のリオ五輪中もリーグ戦を休めない。そのため、代表選手を抱えているチームほど戦力ダウンに苦しむことになり、上位陣には悩みの種だ。
9月、10月、11月のW杯予選では、流石にリーグ戦を休むとはいえ、予選翌日にリーグ戦が組まれており、その試合での代表選手のプレーはほぼ不可能だ。
さらに、ブラジル経済の低迷、レアル安から国外チームからの引き抜きの手は引きも切らない状態で、現有戦力を元に立てた優勝予想が1カ月後には成り立たない事態も起こりうる。
そんな混沌の全国選手権を勝ち抜いて栄冠をテにするのはどこか? 答えは12月初旬に判明する。 (規)