【既報関連】フォルクス・ワーゲン(VW)の3工場が座席不足のために16日から生産を停止したのと同様、Fiatもミナス州ベチン工場で生産停止中と18日付エスタード紙が報じた。
VWは13日、座席不足のためにサンパウロ州のサンベルナルド・ド・カンポとタウバテ、パラナ州のサンジョゼ・ドス・ピニャイスの3工場で16日の生産活動を停止すると発表した。Fiatも、13日に一部ライン、16日からは全車種の生産を停止している。
従業員1万8千人のベチン工場はFiatが持つ世界最大の工場で、約10種の車を生産している。同工場が生産を停止したのは、VW同様、多国籍企業のケイペル/プレベント社からの座席や関連部品の納入が12日から止まり、作業継続が不能となったからだ。
同社によれば、同工場での生産停止は、同社の従業員や部品工場の従業員など計5万人の生産活動停止と1日3千万レの損失を意味する。同社は17日までに約5千台の生産を停止している。
VWの損失額はこれ以上と見られるが、同社は詳細を発表していない。VWは16日、ケイペルに24時間以内に部品の納入を再開する事と再開しなければ1日50万レの罰金を命じる暫定令を得、Fiatも17日に裁判所に訴えたが、両社の工場は18日も生産を再開できずにいる。
ケイペル側は「自動車メーカーが約束通り支払わないせいで解雇も起きた。サンジョゼ・ドス・ピニャイスやサンパウロ州リベイロン・プレット、ミナス州ベチンといった工場閉鎖も考えている」と言うが、VWやFiatは「不当な価格調整要求など、契約違反はケイペル側だ」と反論している。
18日付G1サイトによると、Fiatの従業員約500人は18日、ケイペルのベチン工場前で「地区内の労働者の事も考えろ」「部品不足で生産停止に陥った」と書いた横断幕などを掲げて抗議行動を行った。
不況に喘ぐ工業界では、給与調整などで労使交渉が決裂し、生産活動が停止される例もある。サンパウロ州のクバトンやサントス、グアルジャーでは、17日夜の総会で、給与は約7%調整するが食事手当てなどの恩典や利益還元率は据え置きという会社側の提案拒否を決めた14工場の従業員が、18日朝からストを決行。会社側が調整率を10%に引き上げたため、労組側は18日の総会でスト継続か否かを決定する。ただ、3工場では18日朝、給与と恩典引き上げの提案を受け、既に業務を再開している。