ミシェル・テーメル大統領代行(民主運動党・PMDB)にとり、最初の議会審議の洗礼とも言うべき、今年度予算における基礎的財政収支の黒字目標見直し案(MF)の採決が来週中には行えない可能性が出てきたと20日付伯字各紙が報じた。
テーメル暫定政権は発足後1週間で大きな難関を迎えた。5月30日までにMFが可決されないと、暫定政権の予算は、人件費その他の基本的な経費にいたるまで、即時凍結状態(シャット・ダウン)に陥る。
テーメル政権発足直後の基礎的財政収支の赤字額は1200億レアルと見られていたが、その後1300億、1500億と膨れ上がっていった。エスタード紙によれば、政府は赤字額を1500億レアル超とするMF(フォーリャ紙では赤字1800億レ)の承認を求めているようだ。
両院合同予算委員会(CMO)が今週発表した、CMOがMFの議論を行ってから本会議にかけるという決定は、下議たちの存在感を増す事になった。
同案が議会に直接諮られた場合は、レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)が報告官を指名する流れになっていたが、停職中のエドゥアルド・クーニャ下院議長派で、CMO委員長に選ばれたアルトゥール・リラ下議(進歩党・PP)は、MF案の報告官にダゴベルト下議(民主労働党・PDT)を任命した。
停職中のジウマ大統領(労働者党・PT)は、在任中の3月に966億5千万レアルの赤字というMFを議会に送り、承認を求めていたが、同大統領の罷免手続きの進行により、このMFは議会で止まっている。
テーメル大統領代行は19日に下院政府リーダーのアンドレ・モウラ下議(キリスト社会党・PSC)と会い、来週中の修正予算案決議を行うため、できるだけ審議を急ぐよう要請した。ロメロ・ジュカ企画相も、MFを27日までに通すため、各省庁に26日の聖体祭の祝日を返上して働くよう、叱咤している。
3月のジウマ政権時に出された967億レの赤字額が、現在はほぼ2倍かそれ以上もあり得るほどまでに膨らんだ要因には、昨年までに行われた事業やサービスの未払い分があることや、各州が国庫に対して抱える債務返済が引き延ばされたこと、ジウマ大統領が停職直前に社会保障政策を追加していったことなどが挙げられる。
ロメロ・ジュカ企画相は、最終的な数値を盛り込んだMFは、23日に政府より議会に提出されると発表した。
ジェデル・ヴィエイラ・リマ大統領府総務室長は、「暫定政権は次々に出てくる債務に驚いている。最終的な赤字額は2千億レに達するのではないか」との私見も述べている。