テメル暫定政権の大きな指針とも言える、エンリケ・メイレレス財相による財政改革に伴う憲法改正法案(PEC)は、現状では「原案を修正した形で」と望む議員が多いことが30日付エスタード紙によって明らかになっている。
メイレレス財相が打ち出したPECの目玉となるのは、「予算作成時の公共支出の調整率の上限設定」「岩塩層下の油田開発へのペトロブラスの参加義務撤廃」「社会福祉政策の改変」「年金基金や公社の役員選定基準の明確化」だ。だが、同財相が発表した原案のままでは、PECの承認に必要な「上院、下院共に5分の3以上の賛同」を確保できる状況には至っていない。
エスタード紙が議員たちにアンケートを行ったところ、既に上院が承認した「岩塩層下の油田開発」と「役員選定」に関しては、5分の3には至らないものの「賛成」が多数派だが、修正を希望する議員も相当数いる。
一方、「支出調整の上限をインフレ率以下とする」案に関しては、上院で「賛成」14人、「反対」10人、「修正必要」が34人、下院も107人、58人、161人と、修正を求める声が圧倒的に多い。
また、「福祉改変」に関しても、上院で「賛成」0人、「反対」10人、「修正必要」48人、下院でそれぞれ41人、58人、227人と、こちらでも修正が強く求められている。
現在、議会を占める7大政党のうち、あらゆる財政改正案に反対しているのはジウマ大統領の労働者党(PT)だけだ。だが、テメル大統領代行の民主運動党(PMDB)や民主社会党(PSDB)、進歩党(PP)、共和党(PR)、社会民主党(PSD)、民主党(DEM)といった、暫定政権に参加している党でも、原案通りでは賛成していない党が大半だ。
支出調整率に上限を設ける案に修正が求められている理由は、制限される項目の中に教育や保健部門も含まれるためだ。PSDB下院リーダーのカシオ・クーニャ・リマ下議は、「教育、保健、治安の三つは国民がもっとも充実を求めている。支出の切りつめは必要だが、これらの資金は確保しておくべきだ」との持論を展開している。
また、テメル大統領代行のお膝元であるPMDBのエウニシオ・オリヴェイラ、バレイア・ロッシの上下院リーダーも、「通過は可能だろうが、修正案を出した方が良い」と見ている。
また、社会福祉に関しても、PSDの下院リーダー、ロジェリオ・ロッソ下議が語るように「制度の近代化は必要だが、国民が既に得た権利を失うことがあってはならない」との声がある。
これらの改正案承認は新連立与党にとって最初の大きな課題のひとつだが、テメル政権は財政改正PECの承認前に、今後4年間の政府経費自由枠(DRU)を25%に拡大する案の上院通過(1度目はジウマ政権下で承認済み)を図ることで新連立与党の機能を確かめたいとしている。
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