ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | カモンエス賞にラドゥアン・ナサル=ポルトガル語文学の権威
ラドゥアン・ナサル(Paulo Pinto/Fotos Públicas)
ラドゥアン・ナサル(Paulo Pinto/Fotos Públicas)

カモンエス賞にラドゥアン・ナサル=ポルトガル語文学の権威

 5月30日、ブラジルやポルトガル、アンゴラなど一部のアフリカの国など、ポルトガル語を公用語とする国の文学を対象とした文学賞「カモンエス賞」の今年の受賞者が、サンパウロ州生まれのブラジル人作家ラドゥアン・ナサル(80)に決まった。
 ラドゥアンは、ブラジル国内でもかなりミステリアスな存在として知られている。彼は1970年代に、後に映画化されてヒットした「ラヴォウラ・アルカイカ」(75年)、「ウン・コッポ・デ・コレラ」(78年)という、国際的に翻訳された2作の著作を世に送り出したが、現在までに発表したポルトガル語の小説は3作のみだ。
 だが、ポルトガル語では未発表ながら、ドイツ語、フランス語に翻訳された作品が1作ずつ存在する。また、80年代には作家を引退しており、庭師として活動していたこともあった。
 そんなラドゥアンには今年、注目される機会が2度あった。最初は、3月にブラジリアの大統領府で行われたジウマ大統領罷免反対のイベントに参加したことだ。
 もうひとつは4月、イギリスの権威ある文学賞ブッカー賞の非英語文学部門で「ウン・コッポ・デ・コレラ」がノミネートの対象作となったことだ。ちょうど、ラドゥアンの再評価が進もうとしているタイミングでの今回のカモンエス賞の受賞だった。
 この賞は1989年に創設されており、ブラジル人作家の受賞はこれで12人目となる。(5月30日付G1サイトなどより)