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「テメル出て行け MTST」と書かれた大統領府聖市事務所(Oswaldo Corneti/Fotos Publicas)
「テメル出て行け MTST」と書かれた大統領府聖市事務所(Oswaldo Corneti/Fotos Publicas)

MTST=大統領府サンパウロ市事務所に篭城=住宅福祉政策の中断阻止で=反強姦文化デモにも合流

 サンパウロ市にあるテメル大統領代行の私邸前に泊まりこみを試み、軍警に撤収させられてから10日後の6月1日、ホームレス労働者運動(MTST)は、サンパウロ市中央部パウリスタ大通りで反テメルデモを起こし、大統領府サンパウロ市事務所のある、ブラジル銀行ビルのホールを占拠したと2日付伯字各紙サイトが報じた。
 MTSTの目的は、労働者党政権が提唱してきた、低所得者向けに安価の住宅を低金利で提供する持ち家政策の「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ(MCMV)」による住宅建設の中止を阻む事だ。
 今回の抗議行動後、ブルーノ・アラウージョ都市相(民主社会党・PSDB)は、MCMVの契約を再び行うための新しい省令の発行を決め、文書で声明を出した。MTSTはこれを、政府方針の後退であり、勝利と位置づけて祝福した。
 MTSTの立て篭もりは2日の午前9時半まで続いた。
 1日の抗議行動ではデモ隊と警察との衝突が目立った。警察はマスタードガスや催涙ガス弾を使用した。MTSTの指導者ギリェルメ・ボウロス氏は、軍警が動けないよう押さえ込んだ後もデモ隊員を殴打したと非難したが、サンパウロ州保安局は「活動家たちの建物への侵入を防ぐために必要な行為だった。デモ隊員は警察の指示に従わず、抵抗してきた」との文書を発表した。
 デモ隊参加者と警察の衝突のきっかけは、MTSTがロケット花火を発砲したことだ。今回は活動家6人が障害、侮辱罪等で逮捕され、警官も1人負傷した。パウリスタ大通りにある、警官が1人入って監視するキャビンも破壊され、銀行の支店1軒と地下鉄の駅一つで器物破損が起きた。
 ボウロス氏は「抗議デモのような当然の権利を治安問題に摩り替えて実力行使してくるのは、警察側のやり口だ。彼らが火に油を注いでいる」とした。
 アラウージョ都市相はMCMVを完全に中断してしまう意図はなかったと言うが、この発言はジェデル・ヴィエイラ・リマ大統領府総務室長官(民主運動党・PMDB)が言う「MCMVの新規契約は、政府が計画全体を再分析するために一時中断される」との見方に反している。
 1日午後4時からはパウリスタ大通りのサンパウロ美術館(Masp)下広場を起点とする反強姦文化デモも行われ、MTSTのデモ参加者の一部は午後6時半頃からこのデモにも加わった。