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日系被爆者からも称賛の声=オバマ大統領の広島訪問

(左から)鮫島さん、森田さん、盆子原さん

(左から)鮫島さん、森田さん、盆子原さん

 戦後71年。米大統領として初めてオバマ大統領が広島を訪問した。核廃絶を訴え続けてきた広島にとっては念願が叶った形だが、当地の被爆体験者らは今回の訪問をどのように見ているだろうか――。
 ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(92、広島県)は、「ずいぶん長い歳月を要したという感はあるが、米大統領として現職大統領が広島訪問したことは画期的だ」と肯定的に評価した。
 開戦直前に訪日し、長崎で被爆した「帰伯二世」鮫島義隆さん(88)も、最高軍事司令官でもある大統領が国内からの批判を受けながら、「現職大統領として広島を初訪問した決断と行動は称賛すべき」と口を揃えた。
 盆小原国彦副会長(75、静岡県)は、「これをきっかけに核兵器廃絶に向けた機運となって欲しい」と強く期待し、「地球上で3度目の原爆投下があってはならない」と常日頃、講演で訴えている言葉を繰り返した。
 同会は1984年に設立され、原爆の悲惨さを訴えるため、ブラジル各地で精力的に講演活動をしてきた。ブラジルでの被爆者は現在約120人程度。毎年漸減しているという。現在は、公立学校や大学などを回り、生徒や学生たちに平和を訴える活動をしている。
 「原爆投下された広島は、屍だらけでこの世の終りのようだった」と森田会長は当時を振り返る。「戦争の愚かさを理解してもらい、二度と過ちが繰り返されないよう、訴え続けていかなければならない」と語気を強めた。
 今年は、リオ五輪とほぼ同時刻に、広島県では平和記念式典が開催される。それに合わせて、サンパウロ市の広島文化センター(平崎靖之会長)では毎年恒例の追悼ミサがおこなわれる。
 県連日本祭りで子供らが折った千羽鶴が、その場で同センターに寄贈され、戦後初めて原爆を取り上げた映画『原爆の子~広島の少年少女のうったえ』(新藤兼人監督)が上映される予定だ。
 オバマ大統領の広島訪問に際して、平崎会長も「意義のある歴史的な出来事だ。平和に向けて一歩前進した」とした上で、胎内被爆者の一人として「命ある限り、恒久平和のために活動していきたい」と力強く語った。