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トレーニングに励むポポレ選手とヨランダ選手(Rio 2016/Alex Ferro)
トレーニングに励むポポレ選手とヨランダ選手(Rio 2016/Alex Ferro)

「亡命選手団」で五輪出場=リオに住みついたコンゴの柔道2選手

 リオで亡命を続けていたアフリカの柔道選手が、リオ五輪で認められた「亡命選手団」の一員として五輪に出場することが決まり、話題となっている。
 男子柔道のポポレ・ミセンガ選手と女子のヨランダ・ブカサ選手は、かねてから、祖国コンゴ民主共和国(旧名・ザイール)で長きにわたって繰り返される紛争に頭を悩ませていた。ポポレ選手の母親は、彼が8歳のときにこの紛争に巻き込まれて亡くなっている。
 こうした状況下では、国のスポーツ団の管理もままならないようだ。2013年2月、2人はコンゴ共和国の代表としてリオの国際大会に出場したが、その際、彼らの監督が、2人のパスポートと食事の交換券を持ったまま失踪したという。これで食事を取ることができなくなったことで、ヨランダ選手は体調を崩して欠場した。
 すると監督は、2日後の試合当日に泥酔状態で戻ってきた。これで心乱されたポポレ選手は試合で惨敗した。
 この件に呆れ果てたヨランダ選手はポポレ選手を説得して、祖国に戻らず、このまま亡命することを説得した。2人はリオで出会ったアンゴラ移民をつてに、市北部のファヴェーラにあるアフリカ人コミュニティを見つけ、そこで生活することになった。
 「最初の数カ月は本当に大変だった。家も、金も、食べ物も何もなかったからね」とポポレ選手は振り返る。
 だがリオで、ブラジル人柔道家フラヴィオ・カント氏と出会い、彼の道場に通いはじめたことでまた運命が開けてきた。16年3月、IOCが「祖国を失った亡命選手や難民選手による連合チームをリオ五輪に出場させる」ことが正式に決まり、その代表を目指して努力することとなったのだ。
 そして3日、ポポレ、ヨランダ両選手に吉報が届いた。彼らは、シリアの水泳選手2人、南スーダン5人、エチオピア1人の陸上選手と共に「亡命選手団」の一員としてリオ五輪出場が決まったのだ。
 「亡命者や難民には住む家も、所属するチームも、背負う国も、その国の国歌も存在しない。そんな彼らが、世界の亡命者の希望となってくれれば」とトーマス・バックIOC会長は語っている。(3日付リオ2016公式サイト、G1サイトより)