上院のジウマ大統領罷免問題特別委員会は2日、同大統領の罷免審理(弾劾裁判)実施か否かを決める本会議と同裁判の結審までの全過程を7月中に早める決定を下したが、ジウマ大統領の弁護側が強硬に反対し、最終的な決定は来週に持ち越しになった。3日付伯字紙が報じている。
特別委員会は2日、報告官をつとめるアントニオ・アナスタジア上議(民主社会党・PMDB)が提案していた、今月6日から罷免の事由に関する証言や証拠を集める作業を始め、8月1日か2日に弾劾裁判を行うか否かを決める本会議を開催、裁判実施の場合は8月15日に結審という案を採択するために集まった。8月15日を結審の日としたのは、翌日から全国の市長、市議を選ぶ地方選のキャンペーンがはじまるためだ。
だが2日の特別委員会では、シモーネ・テベテ上議(PMDB)が期限を20日前倒しにした案を再提案し、ライムンド・リマ委員長(民主運動党・PMDB)が同案を採択した。テベテ上議の案は、6月21日から行われる予定の罷免を求める側とジウマ氏側の主張を聞く期間をそれぞれ10日間ずつ短縮、全体で20日縮めたものとなっている。
同案だと、弾劾裁判の実施を問う本会議は7月12日か13日、弾劾裁判の結審は7月25日ととなる。
この案は5月25日の委員会で提出され、PMDBの上議や同党の重鎮でもあるテメル大統領代行の指示を得ていた。2日の委員会では、アナスタジア氏の案の承認をとる前の修正動議の形で採択された。
テメル氏が罷免審理期間短縮を望む理由は複数ある。最初は、ロメロ・ジュカー前企画相、ファビアーノ・シルヴェイラ汚職対策相の2人がラヴァ・ジャット作戦の捜査妨害疑惑で辞職に追い込まれ、暫定政権に傷がついたこと。二つ目は、決定が延びて罷免賛成の議員が心変わりを起こすと罷免自体が流れてしまい、経済政策が成立しなくなるためだ。また、8月5日にはじまるリオ五輪前に罷免が成立していれば、テメル政権が正式な政権であることを対外的に主張できる。アナスタジア上議の案だと、最終決定は五輪開催期間中となってしまう。
リラ委員長の決定後の委員会は、労働者党(PT)を中心に反対の声が上がり、喧々諤々となったが、ジウマ大統領の弁護をつとめるジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ総弁護庁長官(PT)はこの日程を不服とし、最高裁に訴える姿勢を見せた。テベテ氏は「刑法の基準に則った案だ」と主張しているが、カルドーゾ氏は、原告やジウマ氏が主張できる期間が15日から5日に短縮されることに反対し、コーロル氏のとき同様、15日間をかけ「しっかりと議論すべき」と反論した。
委員会はリカルド・レヴァンドフスキ最高裁長官の意見を仰いだ上、来週、日程案の決を採る。
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