リオ五輪・パラリンピック組織委員会(以下、組織委)が、2015年度の収支報告で、1億4600万レアルに及ぶ歳出の隠匿工作を行っていた疑いがあると、3日付フォーリャ紙が報じた。
組織委は、修正会計の形をとり、1億4600万レに上るブラジル五輪委(COB)への支払いが、15年会計に含まれないようにした。
組織委とCOBの会長はどちらも、カルロス・アルトゥール・ヌズマン氏だ。現地の組織委とその国の五輪委の長を同一人物が務めるのは、五輪史上初のことだ。
経済学者のルイス・パウロ・ローセンベルグ氏によると、この会計操作には違法性はない。同氏は「同じような事は私企業では数多く行われているが、公的団体で行われたら違法性を疑われかねない」と語る。
会計操作の背景には、09年にリオ市が16年五輪開催地に決定した直後に成立したある合意が絡んでいる。COBとブラジルパラリンピック委員会(CPB)は、もう既に五輪関連の活動への支援を表明した企業と競合する企業とはスポンサー契約を結ぶ事ができないというものだ。
組織委はそれに伴う不利益の埋め合わせとして、スポンサーなどからの収益(マーケティング収益)を国際オリンピック委員会、COB、CPBに分配しなければならない。
15年の場合、組織委はCOBに対し、1億4630万レを支払う必要があったが、この支払いが遅れたため、本来なら1億2900万レの赤字となるべき組織委の会計は、1700万レの黒字と報告された。COBの会計報告でも、組織委からの未払い分を損失に計上すべきなのに、計上していない。
「技術的側面から見て違法性はない。心配されるのは、選手たちを直接サポートするCOBに資金が回らなければ、ブラジルスポーツ界が不利益を被るということだ」そう語るのは、スポーツ行政コンサルタントのペドロ・ダニエル氏だ。
パラナ連邦大学で会計学を教えるジョルジ・エドゥアルド・スカルピン教授によれば、「ヌズマン氏が組織委とCOBの会計報告書に双方の代表者として署名したこと、そしてその日付が12月31日だったということは、どう控えめに見ても奇妙だ。二つの委員会が負債が表に出ないよう、再交渉を行ったのではないかという印象は免れ得ない」という。