サンパウロ州内陸部のカンピーナス市などで5日未明、ダウンバーストが起き、時速100キロ超の突風や大雨、雷、雹が観測され、5人が軽傷を負ったと6日付伯字紙や各紙サイトが報じた。
同市での被害は当初、竜巻(トルナード)によると考えられていたが、残された爪あとの大きさや分布から、ダウンバーストの中でも、局地的で風速も早いマイクロバースト(ミクロエスプロゾン)と判断された。
ダウンバーストは、強い上昇気流によって出来た積雲や積乱雲の衰退期に起きる自然現象で、雲の中に溜まった水滴や氷の粒が下に向かって墜ちようとして下降気流が生じる。氷の粒が解けようとして周りの熱を奪って出来る非常に冷たい空気の塊は、水滴などが起こす摩擦効果と共に下降気流を更に拡大させる。
こうして出来た強い下降気流が、巨大なエネルギーを保ったまま地上にぶつかって拡散するのがダウンバーストで、この時生じる風は強い台風や竜巻のF1レベル(秒速30メートル、時速約108キロ)に達する。
カンピーナスで観測された風は公式には88キロだが、専門家は被害の状況などから120キロに達したと見ている。
ダウンバーストの被害は同市内少なくとも3カ所で観察され、ショッピングセンターの屋根や家屋の瓦が飛ばされ、100本超の木や電柱、携帯電話用のアンテナなどが倒れた。大雨に伴う濁流で車が流された他、一部地域では停電も起きた。
ショッピングセンターは少なくとも5~6日、休業を余儀なくされ、市内の清掃などにも3日はかかると見られている。
強風や豪雨などはサンカルロス、パウリニア、イタチビ、ピラポーラ・デ・ボン・ジェズス、ジュンジアイなど、計9市で観測された。
なお、サンパウロ市では4日朝9時~5日朝9時の雨量が73・44ミリに達し、6月の平均降水量の55・7ミリを超過。6月の雨量は既に119・8ミリに達している。
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