上院本会議は7日、経済学者イラン・ゴールドファジン氏の中銀総裁就任を賛成56票、反対13票で承認したと8日付フォーリャ紙が報じた。
同氏の中銀総裁指名は先週行われたが、上院の経済問題委員会での諮問が7日になったため、7日と8日の通貨政策委員会(Copom)への出席はかなわず、会議の司会はアレシャンドレ・トンビニ総裁が務めた。
ゴールドファジン氏は経済問題委員会で、インフレ率を上下2%までの〃許容範囲〃に頼らず、目標値通りの4・5%以内に抑えることが当面の課題だとした。
2009年以降、広範囲消費者物価指数(IPCA、政府の公式インフレ指数)は目標値から大きく離れている。今年4月末時点の「過去12カ月間の累計インフレ率」は9・28%だ。
経済危機に関する質問には、経済を再び成長軌道に乗せ、金利を引き下げ、雇用を回復させるには国の財政の健全化が必要だと述べた。また、労働者党(PT)政権が採用してきた成長路線ではなく、旧き良きマクロ経済の原則「責任のある国家財政、為替の変動相場制、節度あるインフレ」に戻るべきとの見解を表明した。
ゴールドファジン氏はまた、現況の為替相場にも触れ、中銀の為替操作はないとし、レアル安は今年第1四半期の国内総生産(GDP)減に作用したが、輸出には好意的に働くとした。
さらには、「今の経済先行き不透明感を脱したらすぐに、保有する外貨の適正額について議論すべきだ。これはもちろん、外貨を保有し続ける際のコストにもよる」と語り、条件が整い次第、外貨準備高の見直しを行うとした。現在中銀は3760億ドル相当の外貨を保有している。これはGDPの2割にあたり、他の新興国と同等だ。
同氏はまた、中銀の独立性保持の重要性についても言及した。テメル暫定政権では中銀総裁は閣僚扱いとしていないが、中銀がインフレ抑制政策を進めるための独立性は憲法改正案に加筆され、維持されるとした。
同氏はさらに、ブラジルは繁栄を謳歌した2000年台半ばからのおよそ10年に及ぶ世界経済情勢の追い風を当てにする事はできないが、適切な経済政策を取る事によって、17年からは再び経済発展の道を歩む事ができるとの見解を示した。