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廃棄食材で1900万人の命が救える?

 14年5月と15年9月に報じられた数字だから少し古いが、ブラジルでは毎日40トンの食材が捨てられており、無駄なく使えば1900万人の腹を満たす事が出来るという。形の悪い品や基準の大きさに満たない品を捨てたり、トラクターで潰したりといった話だけではなく、毎日の食事を準備する時に出るゴミや賞味期限切れで捨てられる物も含めると、3分の1の食材が無駄にされているらしい▼日本では、形が悪くても味は同じだといって、そういう品を安く売る店もある。ブラジルでも市場などで捨てられる食材をもらいうけ、福祉施設の食事を準備する団体や、フェイラなどで出る野菜や果物の屑を有機肥料にするために回収するといった動きもある▼そういう意味で思い出すのは、家庭科の調理実習で「台所からのゴミが少ない=食材をうまく使っている」と教えてくれた小学校時代の担任の言葉だ。無論、調理時のゴミが皆無となる事はないだろうが、大根の葉やにんじんの葉は菜飯や天ぷらなどにも使える立派な食材だ。骨付き肉をさばいた時出る屑肉はハンバーグや野菜とあわせた炒め物など、もう一品欲しい時の足しになる。圧力鍋の料理の本には、鶏肉を丸ごと調理してさばき、部位毎に使い分ける方法も書かれていた▼不況で失業率が上昇し、労働者の所得や消費者の購買力が低下といった報道も繰り返されているだけに、家庭では購入した食材の完全消費を心がけたい。市場や商店も売り場の設定や商品の選別のあり方に工夫を凝らす事で無駄になる食材を活用出来れば、同じ量の食材で多くの人が満ち足りると考えるのは虫が良すぎる? それとも知恵や工夫の見せ所か。(み)