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10日の反テメル・デモでのルーラ氏(Ricardo Stuckert/Instituto Lula)
10日の反テメル・デモでのルーラ氏(Ricardo Stuckert/Instituto Lula)

ルーラ=裁判権はモロ判事に移行か?=検察庁が最高裁に依頼書=セルヴェローへの口止めで=展開次第では今後逮捕も

 連邦検察局のロドリゴ・ジャノー長官は10日、ルーラ元大統領も絡むラヴァ・ジャット作戦(LJ)での起訴状の扱いを、パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事に委ねることを望む依頼書を、最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事に送った。起訴の内容は、昨年11月に逮捕され、議員罷免も受けたデウシジオ・アマラル元上院政府リーダー(元・労働者党・PT)の報奨付供述に基づく、捜査妨害に関するものものだ。11日付伯字紙が報じている。

 ルーラ氏が問題とされているのは、デウシジオ氏が昨年10月、ペトロブラス元国際部長のネストル・セルヴェロー被告の息子のベルナルド氏に対し、父ネストル氏が報奨付供述に応じぬよう、弁護士費用などを負担することや国外逃亡案まで提示し、捜査妨害で現行犯逮捕された件で、起訴状の中心はあくまでもデウシジオ氏だ。
 デウシジオ氏は逮捕後に報奨付供述をはじめ、「セルヴェロー氏の口止め作戦を命じたのはルーラ氏だ」と言及していた。
 この口止め交渉の際にデウシジオ氏と同席していた同氏の元秘書のジオゴ・フェレイラ氏、同席はしていないもののベルナルド氏が行った会話の盗聴に名前が登場した弁護士のエジソン・リベイロ氏、BTGパクトゥアル銀行のアンドレス・エステヴェス氏も起訴されている。リベイロ氏はセルヴェロー氏の説得役で、エステヴェス氏は賄賂用の資金を工面することになっていた。
 また、セルヴェロー氏とペトロブラスの事業交渉に立会って収賄を行ったと疑われる、ルーラ氏の親友で牧畜企業家のジョゼ・カルロス・ブンライ氏と、その息子のマウリシオ氏も告発を受けている。
 連邦地裁へ送付するよう要請された起訴状の対象者は公職政治家ではなく、唯一例外だったデウシジオ氏ゆえに最高裁扱いとされた。公職政治家以外を対象とするLJの裁判はパラナ州連邦地裁の管轄で、5月に議員を罷免されたデウシジオ氏もこちらに含まれる。
 ルーラ氏の場合は今年3月、収賄疑惑でモロ判事からの逮捕が目前かと思われるタイミングで官房長官に指名された。モロ判事が連邦警察の盗聴公開を許可した結果、ルーラ氏指名は国の混乱を招いたと最高裁に判断され、官房長官就任を差し止められたが、裁判の管轄は最高裁扱いになっていた。5月12日のテメル暫定政権誕生で官房長官は解任されたため、ルーラ氏は公職政治家ではないが、後は最高裁の判断が必要となる。
 ジャノー長官の要請が認められれば、モロ判事の判断次第でルーラ氏逮捕も起こりえる。
 ルーラ氏は10日、サンパウロ市パウリスタ大通りで敢行されたテメル暫定政権に対する抗議デモに参加し、大勢の参加者の前で同政権を批判した。