5月11日、ジウマ大統領の罷免審議継続の是非を問う上院本会議が開かれ、55対22の大差で罷免審議継続が承認された。翌5月12日にジウマ大統領(労働者党・PT)の180日間停職と、テメル副大統領(民主運動党・PMDB)の大統領代行就任が決まってからちょうど1カ月の動きを6月12日付フォーリャ紙が報じた。
「まるで戦争のようだった」というテメル大統領代行の言葉には、就任後1カ月間の苦悩が表れている。わずか30日で閣僚を2人失い、決定後の変更を強いられた上、国家財政の状況は事前の予想をはるかに上回る酷さだった。
同大統領代行は、財政目標値の変更、経費自由枠(DRU)の2023年までの延長、イラン・ゴールドファジン氏の中銀総裁への指名は「ジウマ大統領ではできなかっただろう」と列挙した。
政権発足直後に発生した批判の声をかわすように、「議会との対話の復活や財政目標値修正案提出、圧倒的多数での可決などでブラジルは信頼を取り戻しつつある。これは決して小さなことではない」と語った。
組閣時に女性閣僚がいなかったことやラヴァ・ジャット作戦で疑惑の持たれている人物を入閣させた事に関しても、「経済関係スタッフには一流の人物(エンリケ・メイレーレス財相、ペドロ・パレンチ、ペトロブラス総裁、マリア・シルヴィア・バストス・マルケス社会経済開発銀行(BNDES)総裁、ゴールドファジン中銀総裁)を揃えた」と自讃したが、論点をずらす意図も見え隠れした。
大統領罷免問題に関しては、罷免審議継続に賛成票を投じた一部上議に最終投票で賛成票を入れるかどうか逡巡が見られるとの報道にも関わらず、罷免成立を信じていると語る。
PT側が画策している大統領選前倒し案に関しては、「現政権は下院で300議席以上の支持を得ており、大統領選前倒し案は否決する。ジウマ大統領支持派が付け入る隙はない」とした。
最大のネガティブ材料はと問われたテメル大統領代行は、トランスペトロ元総裁のセルジオ・マシャド氏の報奨付供述によるロメロ・ジュカ企画相の辞任ではなく、財政がPT政権から引き継いだ情報よりずっと悪かった事をあげた。「悪い意味での驚きだった。ペトロブラスも郵便局も、エレトロブラスも破産状態だ。さらに各社関係者が私を批判してくる」と不満の語気を強めた。
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