下院倫理委員会が14日、停職中のエドゥアルド・クーニャ下院議長の議席剥奪を良しとする意見書を11対9で承認した▼ペトロブラス関係の議会調査委員会で「秘密口座なぞない」と明言した後、スイスの秘密口座を使って大金を動かしていた事が知れて始まった審議は、8カ月かかってやっと前進した。クーニャ氏は憲政委員会に働きかけ、本会議前の時間延ばしや懲罰の軽減化などを図るようだが、議席剥奪に反対した議員達は選挙民の気持ちや考えをどの位理解しているのだろうか▼汚職にまみれた生活を悔い改めて辞任する訳でもなく、「ジウマ氏の罷免問題を取り上げたから迫害されている」と言うクーニャ氏の弁も信じ難い。だが、議員としての倫理に反する行動をとった責任を取らせるべきとの意見に反対する人達からは、各地で起きた抗議行動で何が訴えられてきたかを理解しようとしていない姿が垣間見える▼停職中のジウマ大統領は事ある毎に「自分に投票してくれた5千万人の選挙民」との言葉を繰り返した。だが、様々な形の失策で国の財政に大穴を開けたのに、データの公表を遅らせ、国民の判断を狂わせたりしたのは、選挙民をないがしろにした行為ではなかったか。景気後退が長引き、日々の営みにも困窮する庶民の姿は政治家の目には入らないのか▼政治的な混乱が経済危機の解決を妨げていると言われるブラジル。少なくとも、下院倫理委員会がクーニャ氏の議席剥奪という結論を出した事で、政局は新たな局面を迎える。大統領府はクーニャ氏がどう出るかに神経を尖らせているが、議会が休みに入る前に本会議との予想もある。下議達の良心に期待したい。(み)