暫く走ってから比較的大きなカーブに差し掛かった時、船長は突然、急カーブを切った。あわや転覆するのでは・・・と驚愕した瞬間、今度は全員が波しぶきを全身に浴び悲鳴を上げた。
船長は2、3度この恐怖のサービスを繰り返した。いよいよ滝の下に近づくにつれ、徐々に滝しぶきが強くなってきた。そして、滝の下に来ると同時に猛烈な息もつけぬほどの水に全身を叩き付けられた。屈強な青年たちも絶叫の連続であった。
「絶叫に濁流逆巻く滝の下」
私たち2人も強烈な水を浴び、ボートから振り落とされぬように必死に手すりを握り背を丸くした。こんな恐怖の体験は、この齢まで初めてのことであった。マカコサハリに来る人が少なかったのは、これで十分に納得することが出来た。私も家内も一時、恐怖心に震えた。完全防備をしていた家内は、下着もろとも全身がびしょ濡れになり無残な結果になってしまった。
しかし、終わってみると、ショックが殊の外大きかったことで、すごい経験と最高の思い出を刻んだと喜び合った。これで恐怖の瀧下遊船、マカコサハリ・コースは終了した。因みに大人1人の料金は198レアルで、60歳以上は半額であった。体力に自信があり、勇気と度胸のある方がおられたら、是非ともお勧めしたいコースである。きっと生涯の思い出になると思う。
この後は、一般観光客の辿るコースなので省略させていただく。
「轟音やシャッター切れぬ滝しぶき」
一通り観てから午後5時、ホテルに到着した。快い疲労感を覚え、午後の遅い昼寝をむさぼった。夜8時前、ラテンアメリカショーを見るためバスに乗る。これも申込者だけであり、幾つかのホテルに寄り、希望者を拾って会場へ行く。既にシュラスカリアの大駐車場には、大型バスが何十台も駐車していた。
会場内は、何百人も収容できるテーブルがズラリと並んでいたが満席に近く、既に夕食が始まっていた。CVCのガイドが特等席に近い席を予約してくれていたのが嬉しかった。シュラスコの他に、握り寿司と太巻きも出たが、あっという間になくなってしまう。次が来るまで待つわけにはゆかず断念した。
夕食が終わろうとしている時、南米6か国の代表的な音楽に合わせてショーが始まった。最初にブラジル、次にペルー、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン、最後に再びブラジルのショーで終わった。ペルーのショーでは、人の丈の倍もある真っ白なコンドル装束をした大鷲が羽を羽ばたかせ、観客席前に現れたのが圧巻であった。
また、ウルグアイの時は、女性が頭の上に瓶を3本・4本・5本と倒さずに積み重ねていくのが見事であった。アルゼンチンタンゴも、2人のきびきびした所作に感動した。私は病気(脳梗塞)を患う前、アルゼンチンタンゴを一応踊っていたが、流石にプロフェショナルのステップの激しさに度肝を抜かれた。
最後のブラジルのショーでは、カポエイラの激しい闘魂を見せてくれた。そしてリオのカーニバル、きらびやかなサンバを踏む肢体が圧巻であった。10時半にショーが終わって外に出たところ、猛烈な篠突く雨であったが、会場の余韻がホテルまでいや眠りに付くまで続いた。
「秋の夜のダンスショーに酔いしれて」 続く
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