【既報関連】サンパウロ州検察局人権調査部は、路上生活者の中に寒さが原因と見られる死者が頻出していることで、フェルナンド・ハダジサンパウロ市長(労働者党・PT)の市政に過失がなかったかの調査に入ると、16日付伯字各紙が報じた。
カトリックの社会福祉組織「路上生活者の司牧会」は、この寒波で少なくとも5人の路上生活者が亡くなったとしているが、サンパウロ市側は確認できていないとしている。
最低気温が13度以下になった時行われるサンパウロ市の「越冬作戦」に関する捜査はエレーナ・ベアトリス・ブジン検事が担当する。検察局による捜査は2014年の同作戦開始以来行われている。
「死亡案件は刑事事件の可能性も含めた調査を行うが、我々は、サンパウロ市の『越冬作戦』に死亡事件が起きるのを防ぐ上で手落ちがなかったかを調べる」と同検事は語った。
ジュリオ・ランセロッチ神父は調査開始を支持し、「誰が寝床を奪い、寝床を与えたかという問題ではなく、人道的な観点で扱われるべき。サンパウロ市政は死者が出るような事態を招いた責任を問われるべきだ」と語った。
サンパウロ市には79カ所の避難所(収容センター)があり、1万1517人を収容できる。また、緊急避難所も13カ所あり、ここ数日は1万1千人を受け入れたとしている。
だが、避難所に入れた人々も決して一安心と言うわけではない。避難所を利用したことのある人の中からは、食事が腐っていた、トイレの汚れが酷い、職員から虐待や差別を受けたといった苦情や、盗難被害を訴える声までが挙がっている。
バーラ・フンダの避難所にいたロベルヴァル・アラウージョ・ドス・サントスさん(30)は「『路上で寝たほうがまし』と言う奴が沢山いる。職員に『乞食』と呼ばれたし、暴力を受けた人もいる」と取材に答えた。同避難所では「俺は今失職中だけど、ここで一晩明かすには午後も早目の時間に来なきゃならないとしたら、どうやって仕事を探すんだ?」と語るチアゴ・ラモスさん(30)もいる。
サンパウロ市側は「これまで同様、州検察の捜査に協力する」と発表している。