リオ五輪開幕まで残り49日となった6月17日、リオ州政府が財政危機による非常事態宣言を発令したと18~20日付伯字各メディアが報じている。同宣言の発令は16日夜、テメル大統領代行とリオ州のフランシスコ・ドルネレス知事代行、エンリケ・メイレレス財相、アナ・パウラ・ヴェスコーヴィ財務局長官の間で行われた会食で承認されていた。
同宣言は、議会や財務省の承認なしに、連邦政府がリオ州政府に財政援助を行うことを可能にする。リオ州政府は、目前に迫った五輪とパラリンピックを滞りなく開催するために、少なくとも30億レアルの緊急援助が必要だとしている。
同州の財政危機は、公務員給与の遅配やそれに伴う複数個所の公共救急医療施設の閉鎖、法医学研究所の遺体受け入れ拒否、燃料不足による警察車両の輪番使用といった形で表れている。
元リオ州副知事で州議会リーダーのルイス・パウロ・コレイア・ダ・ロシャ氏は、「非常事態宣言は、リオ州が債務制限、基本的公共サービスの最低出費などの法的制限を免れ、債務不履行に陥っていてもなお、連邦政府から同州への融資を受けることを可能とするもの。短期で緊急の事業契約も入札を行わずに結ぶ事ができるようになる」と語っている。
リオ州の財政危機は、人件費の増加や不況による税収悪化に、リオ州が依存してきたペトロブラス社からの石油生産に伴うロイヤリティの減少、五輪設備建設のための投資負担が重なって起きている。
政府はリオ州援助の資金を得るための暫定措置を検討中だ。リオ州の危機的財政状況と、五輪が近づいている事が同州援助の口実となる。
リオ州は社会経済開発銀行(BNDES)から9億9千万レアルの融資を得るために必要な財務局の許可を得られていない。この金額の内、5億レはリオ五輪の観客輸送計画の根幹となる地下鉄延伸工事に使われる。同工事を行っている連合企業体(コンソルシオ)には今月半ばまでの資金しかなく、融資が凍結されると工事が中断される危険性がある。
リオ五輪組織委広報部長のマリオ・アンドラーダ氏は、「リオ州の財政難は今起きたことではない。同宣言は大会に全く影響しない」との見解を表明した。
18日に大統領室共同投資計画部は「テメル大統領は国としての責務を果たすから、リオ州も責務を果たすように」との文書を発表している。
テメル大統領代行は20日午後3時から、各州が連邦政府に対して抱える負債の返済(清算)に関する問題とリオ州への緊急援助について話し合うため、各州知事とブラジリアで会合を持った。
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